「一歩前へ」 フェイスブックCOOが語るシェリル・サンドバーグ氏

2013/5/14
交流サイト(SNS)最大手、米フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が3月、「リーン・イン」と題した著書を出版した。リーン・インは「一歩前へ」を意味し、女性の社会進出、特にリーダー層への登用が必要との持論を展開している。現状分析、出版の背景、そして女性、男性、企業へのメッセージをサンドバーグ氏に聞いた。
米フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOO

――リーダー層における女性の少なさをかねて問題視してきましたが、現状をどう見ていますか。

「女性はこれまでに様々な進歩を遂げてきましたが、あらゆる産業、地域においていまだリーダー層からは縁遠いのが現実です。世界には女性や大統領や首相に就いている国が17ありますが、議員に占める割合は20%にすぎません。比較的進んでいる欧州でも30%にとどまっており、50%には達していません」

「企業に目を転じると、もっとひどい状況です。主要企業で最高経営責任者(CEO)の4%以上が女性という国は世界中、どこにもありません。取締役会のメンバーを見ても、フィンランドの27%というのが最高です。もっとひどいのは多くの領域で改善が止まってしまっていることです。米国では企業幹部の14%が女性ですが、この比率は10年間変わっていません」

女性活用の遅れは社会の損失

――女性の活用が進まない現状は、社会全体にとっての損失だと説いていますね。

「企業の取締役会でもPTAのミーティングでも、意識決定の場に女性が少ないということは、女性の意見が十分に反映されていないことになります。こういう話をすると、一部の女性のことかと思われるかもしれませんが、違います。競争により多くの人が参加すればよりよい結果が生まれるはずですし、企業の生産性、男性を含め働きやすさにもつながります」

「私は何も別に、大げさに話をしたいわけではありません。女性登用によりユートピアが実現するとか、世界平和が訪れるなどというつもりもないのです。ただ、企業や国家の半分が女性によって運営され、家庭の半分を男性が担えば、現在よりもいろいろなことが改善されると信じています」

――10年間状況が改善していないということですが、どうしてだと考えますか。

「女性が直面している制度上の課題は少なくありません。より柔軟性が高い労働形態、手が届く費用で利用できる保育施設、出産・育児休暇の拡充などが必要でしょう。ただ、これだけでは不十分です。オープンで率直な対話、すぐに取ることができる行動もあると思います」

――具体的には。

「女性に呼びかけたいのは、『リーン・イン(一歩前に踏み出す)』ということです。女性は性差別などの事情により控えめになりがちですが、控えめになる理由はそれだけではありません。原因は私たち自身の中にもあるのです。伝統的な『女性はかくあるべし』という社会的な刷り込みが、内側から支配している面が大いにあると感じています」

「テストの結果を聞くと、男性は実際より少し高めに、一方、女性はやや低めに申告する傾向があります。『なぜ成功したの』という問いに対して、男性は『自分の能力のおかげ』、女性は『周囲の支援や幸運のため』となりがちです。女性はこう考えている限り、『次回は支援や幸運がなかったらどうしよう』と心配してしまい、男性と同等の自信につながりません」

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「控え目」傾向は世界共通