しかし、実験が多い研究職の仕事は、21時、22時までかかることもザラ。「平日夜の入浴担当」はほとんどクリアできないでいた。職場の同僚との飲み会にも、子どもが生まれる前よりは減らしたものの、週1ペースで参加し続けていた。休日は、趣味のバンド演奏の練習に月2回は参加。「また出かけるの!?」とつっかかる妻に口先では謝りつつも、「育児は十分手伝っているし、仕事のストレスも解消したい。これぐらいのペースの息抜きならば許されるだろう」と高をくくっていた。

妻が職場復帰して、半年後の朝。「今日は飲み会で遅くなる」と伝えた途端、妻が爆発した。「もう無理!このままじゃ今の生活、続けられない!」。家庭を顧みてくれないことへの不満が、マックスに達したのだ。しかしその日は、残業続きで疲れていた山崎さんの虫の居所も悪かった。「俺だって疲れているんだ!お前たちのために夜遅くまで働いているんだから、これぐらいいいだろう!?」

「最悪な発言ですよね(苦笑)。言ってしまってから、『しまった…』と思いました。いくらイラっとしていても、この言い方はまずかった。妻は絶句した後、『もう顔も見たくない』とポツリと。まいったな…と思いながらも、出勤時間が迫っていたので、妻を置いて子どもを保育園に連れて行きました。そして、その日の夜に家に戻ったら…家は真っ暗、そしてリビングのテーブルに、『出て行きます』との書き置きがあったんです」

何度携帯に電話しても、出ない。妻の実家に電話をしようとも思ったが、お迎えの時間からすぐに実家に向かったとしてもまだ到着していない時間。「電話をしても騒動になるだけだ」と思い直し、ひたすら妻の電話にリダイヤルした。

やっと電話に出たのは、夜中の0時。息子を連れ、ずっと近所をうろうろしていたのだという。戻ってきた妻の、疲れ切った暗い表情を見て、事の重大さを改めて実感した。「このままじゃいけない」。生活のすべてを根本から見直そうと決意した瞬間だった。(次回へ続く)

(ライター 伊藤理子)

[日経DUAL2013年11月28日付掲載記事を基に再構成]

働くママ&パパに役立つノウハウ情報サイト「日経DUAL」では「共働き夫婦の本音と実態」、「育児休業はいつからどのくらい取れる?」 「これが『待機児童』の実態だ」などを掲載している。
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