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正月に知っておきたい神社の「常識」 日経おとなのOFF

2012/1/1

伊勢の神宮  太陽神・天照大神と、五穀豊穣の神・豊受大神を祀る。皇室から、時の為政者、一般庶民まで広く信仰

 意外に知られていないが、「神宮」といえば、本来は伊勢の神宮のことを指す。「神宮の社号が付く神社がいくつもあって紛らわしいため、便宜上『伊勢神宮』と呼ばれているだけで、正式名称は『神宮』です。ただ『神宮』が社号とされた経緯はよく分かっていません」(井上さん)。

 伊勢の神宮以外で神宮を名乗るのは、長きにわたって茨城の鹿島神宮と千葉の香取神宮だけだった。これは両社が平安時代の権力者、藤原氏とその祖先の中臣氏の氏神だったことが大きいようだ。

熱田神宮  約1900年前に創建された日本武尊との縁が深い古社。明治時代には伊勢の神宮に次ぐ「第2の宗廟」とされた

 しかし、明治以降は皇室とゆかりの深い神社で社号を神宮に変更するところが増え、さらに第2次世界大戦後には北海道神宮など3社が神社本庁の承認を受けて改称した。

 かくして現在20社以上ある神宮のなかには、伊勢の神宮以外に“特別な神宮”もあるという。

 「皇室との関係でいえば熱田神宮。歴代天皇に受け継がれる三種の神器の一つ、草薙の剣をご神体とする点で特別です」(井上さん)。また、創祀(そうし)からわずか90年の新興神社にもかかわらず、初詣だけでも例年300万人という参詣者を集める明治神宮は、“人気面で突出した神宮”といえるだろう。

【本社と総本社、分社と摂社と末社はここが違う】
 「本社」とは一定の神域内の中心となる神社を指す。では「総本社」は? 「ほかの神社から祭神の霊を分けてもらうことを勧請といいますが、勧請はその神の根源とされる神社から行うケースが大半。総本社は、根源の神が祭られた勧請元の神社のことです。例えば、稲荷神社の総本社は伏見稲荷大社で、八幡神社の総本社は宇佐神宮です」(井上さん)。勧請先が「分社」で、一から新設し、総本社から分霊した神を祭る。神社に詣でると境内にごく小さな神社を見つけることがあるが、本社に付属するそうした小規模な神社のうち、主祭神と縁の深い神を祭ったのが摂社、それ以外を末社と呼ぶ。「戦前の旧官国幣社においては摂社と末社とを区分する基準があり、摂社は末社より上位とされていましたが、現在はそれもなくなりました」(井上さん)。
監修
井上順孝(いのうえ・のぶたか)さん
 國学院大学教授。1948年、鹿児島県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。一般向け著書に『神道入門 日本人にとって神とは何か』(平凡社新書)など。

(ライター 籏智優子)

[日経おとなのOFF2011年1月号の記事を基に再構成]

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