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正月に知っておきたい神社の「常識」 日経おとなのOFF

2012/1/1

 さて、神社の分類でもう一つ知っておきたいのが、「氏神神社」と「崇敬神社」という概念だ。

 氏神神社とは地域の氏神様を祀る神社であり、住所地により氏神神社は決まっている。いわば、常日ごろから守ってくださっている最も身近な神様だ。お参りしたくても転居したばかりで氏神様が分からない場合は、都道府県の神社庁に問い合わせれば教えてくれる。

 これに対し崇敬神社は、氏神神社のような地縁や血縁でなく、個人的な信仰心から崇敬される神社を指す。神社によっては氏子を持たず、専ら「崇敬会」によって維持されているものもある。

【神社を統括する神社本庁にも一目置かれる なぜ伊勢の神宮は「別格」なのか?】
 古来「最も尊い」神社とあがめられ、近代社格制度にも唯一組み込まれなかった伊勢の神宮。数ある神社のなかでもこの神宮が「別格」とされてきたのは、ひとえに祭られる祭神の格の高さによるものだという。
 伊勢の神宮とは、三重県の伊勢湾岸の4市(伊勢・鳥羽・松阪・志摩)、2郡(渡会・多気)にわたる内宮および外宮と、別宮、摂社、末社、所管社合わせて125の神社群の総称だ。内宮に天照大神(あまてらすおおみかみ)、外宮に豊受大神(とようけのおおかみ)を祭る。
 豊受大神はこの一帯の守護神と奉られている。また、天照大神も広く崇拝されている。「かつて祭祀(さいし)と政治の両方を担った最高権力者が天皇。特に天照大神は天皇につながる祖神で、国家鎮護の最高神と考えられた。伊勢神宮は、そのありがたい大神様が祭られる“日本の中心”“心のよりどころ”とされたのです」(井上さん)。
 伊勢の神宮といえば、思い浮かぶのが式年遷宮。一定年限ごとに社殿を新造し、祭神を旧殿から遷す式年遷宮は、ほかの神社でも行われる。しかし、伊勢の神宮のスケールは桁違いだ。
 内宮や外宮、別宮も含めた社殿、鳥居、橋など65の建造物をすべて新造。刀工・金工・漆工・織工などの技術を駆使し、装束や御宝1600点余りも造り替える。しかも頻度は20年に一度。一時期、途絶えたこともあったが、7世紀末から今日に至るまで、これほどの大事業が繰り返されてきたのは、伊勢の神宮が“別格”であるからにほかならない。
 現在は一宗教法人となっているものの、神社本庁は伊勢の神宮を今も「本宗」と仰ぐ。「この神宮が全国8万社のトップに立つ特別な存在であることは、神職ならば誰でも認識していることです」(井上さん)。
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