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マネー研究所
日経マネー 特集セレクト

2014/6/18

日経マネー 特集セレクト

信用取引で中小型株の一点買い
秋山玄馬さん(仮名・53歳、投資歴5年)

秋山玄馬さん(仮名・53歳)さんは5年間で2億円を稼いだ。そのうち1億5000万円は、昨年わずか3カ月間で1銘柄への投資から得た。「誰も真似しちゃいけない投資法を続けてきた。いつ(全財産が)消えるか分からない」と自嘲気味に語る。その手法は超が付くほどハイリスク・ハイリターンだ。

投資を始めた当初は信用取引のみで、倍率は上限の3倍。対象は大化けするかもしれない国内の中小型株だ。常に2~3銘柄に絞り込んできた。「本当は1銘柄だけで構わないけど、口座を開いている証券会社では信用取引は最低2銘柄でないと駄目らしいから」。そもそも信用取引の担保として差し出した現金は、家族5人で暮らす自宅マンションを担保にして銀行から借りたもの。

実質的な投資歴は5年ほどだが、大手証券会社で2年間働いたことがある。退社後しばらくは株の売買を続けたが、独立して仕事が忙しくなると20年以上遠ざかった。ただし、「自宅マンションの住宅ローンを完済したらもう一度日本株をやってみたい」とは思っていた。リーマン・ショックによる株価暴落を機にその予定の前倒しを決意。「どんな銘柄でも割安に見えた」と当時の株式市場を振り返る。

買値は忘れる

前述のように投資スタイルは破天荒だが、銘柄選択の基準は珍しいものではない。「PERは10倍以下、PBRは1倍前後、後は配当利回りが4%あればなおいい」というもの。目安なので守らないことも多い。それより意識しているのは「買値は忘れる」というルールだ。現在の株価だけを見て割安と判断したら買い増していく。特定の中小型株を集中的に買うので突如筆頭個人株主になってしまい、社長や総務部長の“表敬訪問”を受けることもある。

こうした投資は度々危機を招く。東日本大震災の際には明豊ファシリティワークスや薬王堂などを持っていた。震災後に発生したみずほ銀行のシステム障害で追い証を入れられず「正直もう駄目だと思った」。間一髪でくぐり抜けたが、資産は数日で3000万円以上減った。被災地の両親とようやく連絡を取れた際も株で気が動転しており、心配だったはずなのに第一声は「お金、貸してくれない?」。

現在は江守グループホールディングスとアールシーコアなどを保有している。昨年1億5000万円儲けさせてくれたのは前者。「まだまだ割安」と再び仕込む。「小さな会社はいい。株価が2倍になる夢を見られる」。危険な綱渡りを止めるつもりはない。

(日経マネー 鷹野美樹、上木貴博)

[日経マネー2014年7月号の記事を基に再構成]

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