東京駅赤レンガ駅舎が復元、丸の内と八重洲はどうなるクリエイティブディレクター 仲原正治

三菱一号館美術館をきっかけに文化や地域コミュニティを育む

こうした動きの中での大きな目玉となっているのが、三菱一号館の復元に伴う美術館の開館だ。

三菱一号館は前述のように、丸の内最初のオフィスビルとして1894年に竣工した。関東大震災や空襲にも耐えて戦後まで生き延びてきたが、東京駅周辺のオフィス需要の増大、不同沈下による外壁の亀裂、建物の耐震性の課題などで1968年に解体された。

現在の三菱一号館は、設立当時の設計図や解体時の実測図などを元に外装、構造、材質等をできるかぎり再現して、建設されたものである。建設に当たっては一号館の容積率の一部を隣接する丸の内パークビルディングに上乗せしている。三菱一号館美術館は2010年4月にオープンした。美術館はロートレックなどのコレクションを持ち、19世紀から20世紀初頭の近代美術を中心に展覧会を開催している。建物が明治時代のオフィスを再現したものであるため、展示室は小さな空間の連続となっており、ダイナミックな展示は難しいが、他の美術館よりも間近で作品を鑑賞できるメリットもある。

丸の内地区には、様々な文化的な仕掛けが施されている。かつて駐車場だった場所を路面ギャラリー(行幸地下ギャラリー)にして、若手の作家の展覧会などを毎年開催している。また、外国人を対象に地域の情報や観光案内を行う拠点を設けたり、セミナーを開催する「marunouchi caf'e SEEK」をオープンさせたりするなど、ビジネスマンの異業種交流や勉強だけではなく、はじめて丸の内を訪れる観光客や買い物客にも魅力的な仕掛けを作っている。

「marunouchi caf'e SEEK」の1階部分にある外国人向けのツーリスト・インフォメーションセンター(写真:仲原正治、撮影:2012年9月11日)
丸の内仲通りにはパブリックアートも多数設置されている(写真:仲原正治、撮影:2012年9月11日)

ベンチアート。ジャイアント馬場がモチーフだ(写真:仲原正治、撮影:2012年9月11日)
ブランドショップが並ぶ丸の内仲通り(写真:仲原正治、撮影:2012年9月11日)

丸の内付近の案内図(写真:仲原正治、撮影:2012年9月11日)
行幸地下ギャラリーで行われた「アートアワード東京丸の内」。この場所は、丸ビルと新丸ビルの間の地下にあり、以前は駐車場だった(写真:仲原正治、撮影:2011年7月)