「35歳、転職限界説」を突破するには?
「35歳転職限界説」――よく言われていますよね。「35歳以上になると転職するのが難しくなる」というものです。そもそも企業が20代の人と30代後半の人に求めるものが大きく異なります。年齢を重ねれば重ねるほど、管理職的なポジションでの関わりを期待されます。そうした経験値がある方は30代後半でも転職されているケースは珍しくありません。
ただ、一人の事務職スタッフとして転職しようとすると30代後半になると難しくなってくるのは事実です。ですから自分の年齢と市場の動向、今後どのようなキャリアを築いていきたいかを重ね合わせて判断していくことが重要です。
コミュニケーションスキルが高い人は、事務職から営業職に転職する人もいます。営業職は、女性は敬遠する人が多いのですが、最近は不動産や金融などで女性営業職が増えているんです。しかも結果をきちんと出せている。純粋に「お客様のために」という気持ちが素晴らしい数字につながっているようです。家計を管理しているのは圧倒的に女性のほうが多いですから、商品の購入決定権者も女性であるケースが多い。その場合、女性営業だと、顧客に共感しながらきめこまかな提案ができるんですね。
足りない情報は自ら取りに行く積極性が大事
未来の働き方を読み解くキーワードの一つが「オートメーション化」。IT技術もますます進歩するでしょうし、機械やパソコンが担う業務は広がっていくはずです。その時、先ほどの「営業」のような高いコミュニケーションスキルが求められる仕事は人間が担うしかない。女性のコミュニケーションスキルの高さ、共感性の高さは、こんな時代にこそぴったりマッチしていると思います。
「未来の働き方」というとピンとこない人も多いかもしれませんね。一つ具体的なアドバイスをするなら、「常にプラスアルファを意識しながら仕事をする」ようにしてみましょう。上司や先輩の指示のままに実行するのではありません。「爪痕を残す」という表現もしますね。
「これでいいや」と思うと、それ以上の成長はありません。成長が止まってしまうのです。「これ、すごいね。誰がやったの?」――そう思わず問われるような自分なりのエッセンスを入れるように意識してみてください。「誰でもできる」ことは誰でもできてしまうのです。変化の激しい時代、常に必要とされ選ばれる人材になるためには、こうしたちょっとした意識が必要です。
ただ「工夫する」と言っても相手のニーズや目標が分からないと工夫のしようもありません。特に事務職の場合だと、上から情報が降りてこないと工夫するポイントも分からないという場合はあるでしょう。情報を部下にすべて渡さなくてもいいと思っている上司がいることも事実です。ただ、「分からないのでやりませんでした」ではなく、先回りして分からないポイントを調べるような行動力も大切です。
この人に聞きました
1968年生まれ。株式会社キャリエーラ代表/キャリアカウンセラー。カメラメーカー勤務後、大手総合人材サービス企業にて、女性を対象とした転職支援チームを立ち上げ、数多くの転職を支援した後に独立。のべ1万3000人以上の女性向けキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業でダイバーシティ研修、女性管理職研修などを担当。著書に『「あなたには、ずっといてほしい」と会社で言われるために、いますぐ始める45のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。
(ライター 田中美和)
[nikkei WOMAN Online2014年3月26日付記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。