千利休とドラッカー マネジメントに見る意外な共通点

千利休は「既存の価値観を覆した天才的な芸術家」のみならず、「偉大な経営者でもあった」と語るのは、武家茶道の代表的流派である遠州流茶道茶人の堀内宗長さん。「ピーター・ドラッカーの本を読んだとき、そのメッセージは500年も前に千利休が説いた茶の湯の極意に相通じると気づいたのです。利休が現代に生きていたら、ドラッカーのような存在だったかもしれません」。

ドラッカー(1909~2005年)は、言わずと知れた現代の思想家であり経営学の父。『マネジメント』をはじめとするその著作は、日本のトップ経営者にも多数の愛読者がいる。

「1959年に初来日したドラッカーは、日本画にも精通するなど親日家としても知られていました。日本文化に自身のマネジメントと共通する何かを見いだしていたのではないでしょうか」(堀内さん)

千利休のマーケティングとイノベーション

ドラッカーは、企業の目的は「顧客の創造」にあるとし、そのために中核となる機能は「マーケティング」と「イノベーション」の2つだけだという。

ドラッカーの「マーケティング」とは、いわゆる市場調査ではなく、顧客本位の考え方をすること。「自分が売りたいものありきではなく、まず顧客のニーズを探る。これは茶の湯で最も重要な考え方です」(堀内さん)。

「イノベーション」も単なる技術革新ではない。社会のニーズや課題を事業機会として捉え、全く新しい顧客満足度を生み出すことだとドラッカーは説く。「利休が、たった二畳の茶室や、竹を切っただけの花入(はないれ)で鮮やかに茶の湯の価値観を覆したことは、まさしくイノベーション」と堀内さんは語る。

それでは利休の言葉とされる、最も有名な茶訓「利休七則(しちそく)」を基に、ドラッカーとの共通点を見てみよう。

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「利休七則」は、ドラッカーのマネジメントに通ず
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