米国ドラマにおける家族像の変化は、秀作コメディー『モダン・ファミリー』などに象徴されますが、『Mom』は今時のネタでエッジを効かせつつもオールドスタイルの良さがあります。ちなみに、今期もまた男性が主役のコメディーは苦戦しました。『NYボンビー・ガール』に続き『Mom』の成功で、たくましく生きる元気な女性像が印象に残ります。

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●今月のオススメドラマ

『ブレイキング・バッド』

余命少ない化学教師が家族のために麻薬を密造

スーパー! ドラマTVにてシーズン1が放送中。7月31日よりシーズン2がレギュラー放送開始。各シーズンを毎月第1土曜21時から全話一挙放送(シーズン5は10月に日本初放送予定) (C) 2008 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved.

高校のさえない化学教師ウォルター・ホワイト。身重の妻と脳性麻痺(まひ)で歩行にはつえが手放せない長男ジュニアを養うために、放課後は洗車場でアルバイトをしながら生計を立てていた。そんなある日、突然、肺がんで余命はわずかと告げられる。家族に何とか現金を残すべく、化学の知識を生かして違法ドラッグのメタンフェタミンの密造を思いついたウォルターは、かつての教え子でドラッグディーラーのジェシー・ピンクマンと組み、危険な商売を始める。

まじめ一筋に生きてきた男が、悪の世界に踏み入れ、後戻りのできない深みへとはまっていく。衝撃的な内容で米国テレビ界に一石を投じた本作は、『マッドメン』『ウォーキング・デッド』などの秀作を輩出しているAMCで放送され、エミー賞ほか数々の賞に輝き、2013年に全5シーズンで完結した。

シーズンを重ねるごとにすご味が増していく主演のブライアン・クランストンは、一世一代の名演を披露。妻役のアンナ・ガン、相棒役のアーロン・ポールら、俳優陣の鬼気迫る熱演も見もの。評価も人気も最高潮に達したシーズン5の最終回まで、一瞬たりとも見逃すことのできない傑作シリーズだ。

今祥枝(いまさちえ)
 映画&海外ドラマライター。女性誌、情報誌、ウェブ等に映画評やインタビュー等を寄稿。「BAILA バイラ」「eclat エクラ」「日経エンタテインメント!」映画サイト「シネマトゥデイ」などに連載中。著書に『海外ドラマ10年史』(日経BP社)。

[日経エンタテインメント! 2014年7月号の記事を基に再構成]

日経エンタテインメント! 海外ドラマSpecial 2014[夏]号 (日経BPムック) 日経エンタテインメント!

編集:日経エンタテインメント!
出版:日経BP社
価格:1,080円(税込み)