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群れるな・慣れるな・頼るな 好奇心を生涯保つ術 日本画家 堀文子氏

2012/11/30

 日本画家の堀文子さんは94歳になっても凛々(りり)しさを失わない。体は次第に不自由になっているが、大好きな自然の動植物や日本の文化に対する好奇心は失わず、絵を描き続けている。いつまでも現役で活躍しつづける元気の秘密は何か。

■身近なことに驚く毎日…いつの間にか94歳に

 ほり・ふみこ 1918年(大正7年)7月2日、東京・麹町に生まれる。日本画家。女子美術専門学校(現・女子美術大学)師範科日本画部卒業。大磯にアトリエを構え自然のなかに身をおいて制作する。70歳でイタリア・トスカーナに移住。帰国後も未知なる世界を求め、77歳アマゾン、80歳ペルー、81歳ヒマラヤ山麓へと取材旅行を続ける。2001年、83歳のとき大病に倒れるが奇跡的に回復。最近は日本の伝統的な意匠に関心を深め、新たな作品を創作している。

――堀さんは今年7月に、94歳になられました。

 私は、年を意識して生きてきたことがないんです。毎日、つんのめるようにして生きているうちに、いつの間にか94歳になりました。

 地球が太陽の周りを1回、回ると1つ年をとるわけですが、そんなことよりも、地球が1年で太陽の周りを回ることをなんて速いんだろうと思います。飛行機どころの速さじゃないですね。たいへんな騒ぎで地球は回っているのに、私たちはこんなところに、振り落とされないでいるんですね。そんなことにばかり、驚いているうちに、こんなになってしまいました。

――2001年、83歳のときに大きな病気を経験されたそうですね。

 解離性動脈瘤と後で聞きました。そのときは、一晩、悶絶(もんぜつ)する痛みの中にいました。でも、自然に治癒したんです。自然にゼリー状のものが傷口をふさいだとお医者様から言われました。

 それから少し、自分の身体に対して自信を失いまして、一人で山歩きなどはできなくなりました。運動不足になって腰が痛くなり、90歳くらいのときに、その手術をしました。歩くのが苦痛になってきました。

■過去の自分の作品は追わない

――いまも新しい作品はつくられているんですか。

 ものはつくっておりますが、みなさまが思われるような新しいものではありません。私流の、いまのこの身体でできることはしております。このごろはアフリカの仮面だとか、そういう原始の人たちの、まだ絵画とか芸術とか言わなかったころの人間の根源の時代の作品に心を打たれることが多いので、そういうものをまねしています。

――堀さんは自分には画風がない、とおっしゃられていますね。

 そのときに、逆上するほど興奮したものしか描きません。いくらほめられても、過ぎ去った自分の作品を追わないようにしています。

 自分のコピーはだめです。コピーすればするほど、人は喜びますが、自分にとってはよくないと思っています。

 私は、さまざまな絵を描くので、まるで別の人が描いていると思われるかもしれませんが、私にしてみれば、それぞれが、そのときの記録なんです。同じ自分はいないんだということです。

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