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大人の女のリアルが分かる 写真でみる「渋谷ヒカリエ」徹底リポート

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NIKKEI STYLE

2012年4月26日、東京有数の交通ターミナル拠点である渋谷駅前に大型複合施設「渋谷ヒカリエ」(以下、ヒカリエ)がオープンした。

場所はかつて渋谷の情報発信基地となっていた「東急文化会館」の跡地。「プラネタリウムや映画館を備え、当時"生活文化と娯楽の殿堂"とされた東急文化会館のDNAを受け継ぎ、渋谷を日本一訪れたい街にしたい」(東急電鉄・野本弘文社長)。東急グループではヒカリエを現在進めている渋谷駅周辺開発のリーディングプロジェクトとして位置付けている。

ヒカリエは地下3階~5階が東急百貨店による商業施設「シンクス」、6・7階はカフェ&レストラン、8階はアートスペースやクリエイター向けシェアオフィスなどを設けたクリエイティブスペース「8/」(はち)、9・10階はホール、11~16階が2000席規模のミュージカル劇場「東急シアターオーブ」、17~34階がオフィスとなっている。

劇場があることからも分かるように、施設全体のメインターゲットは「大人」。「かつては大人の街だった渋谷が若者の街となり、大人が行きづらい雰囲気になった。ヒカリエをきっかけに、幅広い世代の人々が渋谷に来てほしい」(東急電鉄・野本社長)という

ここでは商業施設「シンクス」を中心に紹介していく。

ターゲットは「大人女性」、人気雑貨店が勢ぞろい

地下3階~5階に入る商業施設「シンクス」のターゲットは「大人の女性」。フロア構成は地下3階・地下2階が「フード」、地下1階・地上1階が「ビューティ」、2~4階が「ファッション」、5階が「ライフスタイル」となっており、約1万6000平米の売り場面積に約200の売り場と店舗が出店している。

実際に施設を回ってみると、まず驚くのが「雑貨セレクトショップ」の充実ぶり。人気ショップ「ザ・コンランショップ」「シボネ」の新業態をはじめ、「イデー」「コレックス」「イデア」といった大手ショップ、目黒を拠点とする「クラスカ ギャラリー&ショップ"ドー"」や福岡発の「オクタホテル」といった具合だ。

ファッションはリーズナブルで実用的

ファッションフロアは、全体的にリーズナブルで実用的という印象。特に靴やバッグなどの服飾雑貨が充実し、靴売り場の試着スペースの広さは圧巻。女性に人気のランニングを核としたアウトドア・スポーツショップも目立つ。

百貨店が手がける商業施設らしく化粧品コーナーが充実しているのは当然だが、美と健康に関するアドバイスを受けられるショップが多いのも特徴だ。

ナチュラル志向の総菜やスイーツ、ベーカリーも充実

食品フロアは「ナチュラル」「オーガニック」がキーワード。働く女性のニーズが高いデリカテッセンフロアでは、RF1のメーンディッシュを強化した新業態やリーズナブルなマクロビオティック総菜店「ハワイアン・デリ・カンパニー ウィズ アイランドべジー」、少量サイズのオーガニック総菜や食品をそろえた「プチデリファクトリー」に注目。女性を意識した少量サイズの商品は多くの店舗で用意されていた。

ジョエル・ロブション初のベーカリーに加え、三軒茶屋の「濱田家」、国分寺の「ラ・ブランジュリ キィニョン」とテイストの異なるベーカリー3店が並んでいるのも、女性らしい視点といえるだろう。

スイーツでは有名パティシェの鎧塚俊彦氏が地方の農産物とコラボした「ヨロイヅカファーム・トーキョー」や、旬の野菜・フルーツを和菓子風に仕上げた「ゆりい菓」、ユニークな形の「紙焼きかすてら」が目を引く京都の「然花抄院」(ぜんかしょういん)、独特の食感のういろうをウリにする山口の和菓子店「三隅勝栄堂」、渋谷のはちみつを使ったプリンに注目だ。

「名店の味」がリーズナブルに、深夜まで楽しめるレストランも

ヒカリエのレストランフロアには6、7階合わせて26店舗が出店している。6階がアッパー、7階がカジュアルという意外な構成。

「時間を楽しむ」がコンセプトの7階フロアは開放的な雰囲気でありながらどの店も個性が強く、テイストが全く異なる点が面白い。7階フロアは金・土・祝前日には朝4時まで営業する予定(6月から)で、深夜まで楽しめる貴重なスポットとなりそうだ。

6階は米国大統領就任晩さん会で料理長を務めたシェフのイタリアンや、日本初上陸となる南イタリアの人気シーフードレストラン、ミシュランガイド常連「レストランよねむら」オーナーシェフがプロデュースする"京洋食"など、老舗や名店の料理がリーズナブルに楽しめる。

一方、レストランで見逃せないのが劇場のエントランスとなる11階フロアの「シアターテーブル」。"予約がとれないイタリアンレストラン"として知られる「アロマフレスカ」のシェフがフードプロデュースし、空間作りに定評のあるトランジットジェネラルオフィスが手がける約200席の大型ダイニングだ。2012年7月の劇場開業後は演目にちなんだコラボメニューも提供する。

「見えより実用、見栄えより内面」が大人の女のリアル

シンクスの店内を回っていて浮かんでくるキーワードは、「シンプル」「ナチュラル」「リーズナブル」。最も高揚感が得られた場所が「スイッチルーム」と名付けられた化粧室だったのは、それを象徴しているといえるだろう。

「渋谷にないもの、足りないものを集めた」と見ることもできる。青山に行けばハイブランドの旗艦店がいくつもあり、渋谷の街なかには海外のファストファッションブランドが軒を連ねている。

ハイブランドの服よりも実用的な服飾雑貨や生活雑貨、他人の目より自分磨き、高級レストランよりオーガニックデリ……。これが"今の大人女性のリアル"なのかもしれない。

(日経トレンディネット 山下奉仁)

[日経トレンディネット2012年4月26日掲載]

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