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子どもの学び

海城中 現代社会の歪み指摘「新しい紳士」の素養問う 入試問題でわかる 名門中学が求める子ども(5)

2014/1/9

入試問題は、いわば「わかる子にだけわかる暗号」。正解に至るための暗号を一つひとつ解いていけば、そこに込められた学校からのメッセージが見えてくる。そして、受験生たちはその暗号を解くために、勉強をしているといえる。本企画では、毎回1校に、実際の入試問題に込めた狙いを聞く。そこから、各校の学力観・教育観を明らかにしていく。

今回紹介するのは、東京新宿区にある男子校・海城中学校。

1891年、海軍予備校として開校。硬派な学校というイメージをもたれていた時期もあったが、現在は「新しい紳士」の育成を標榜している。新しい紳士とは、「フェアーな精神」「思いやりの心」「民主主義を守る意思」「明確に意思を伝える能力」を持ち合わせた人物のこと。

2013年には東大に40人の合格者を出しているなど進学校としても名高い。

一般入試は2月1日と3日の2回行われる(別途帰国生枠がある)。

■学校改革に合わせて論述式の入試に変更

海城は1990年代後半から急激に大学進学実績を伸ばしている。その背景に、1992年スタートした学校改革がある。「新しい紳士」の育成を教育理念に掲げたのもこのときだ。カリキュラムも大幅に改訂した。

例えば社会科には「社会I・II・III」という科目がつくられた。地理・歴史・公民の垣根を越え、社会的関心事について疑問や問題意識を総合的に深掘りする科目だ。この科目ではペーパーテストを行わない。各自のテーマに沿って書いたレポートが評価の対象となる。その集大成として、中3で卒業論文を書くことが習わしとなっている。


「そういうことができる生徒に入学してほしい」という思いから、入試問題も変えた。単純に知識を問うばかりの形式をやめ、論述問題を多くしたのだ。その違いは解答欄を見比べれば一目瞭然だ。試験時間は45分間。大問が1つだけ。B4で1枚程度の課題文を読み、8~10の小問を解く。論述問題の解答欄は合計で350文字分くらいある。

「試験開始と同時に、いきなり解答用紙に鉛筆を滑らせる受験生がいます。それを見るとちょっとがっかりしてしまいます。まずは課題文を、味わいながら、しっかり読んでほしい。2回くらい読む時間もあるのではないかと思います。そうすれば小問を解くうえで必要な前提や背景や関連事項が見つかるはずです。課題文は伊達や酔狂で付いているのではありません。『社会科とはこういう学問である』『海城に入学して学ぶ社会科はこんなに面白いのだ』という、本校の教員たちの想いが込められています」と立川和平教諭。

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