酒のふるさとで極上の一杯を続・食を愉しむ旅(3)ナショナル ジオグラフィック日本版

ナショナル ジオグラフィックが提案する世界の食を愉(たの)しむ旅を紹介する本シリーズ。今回は米国ケンタッキーのバーボン、カリブ海のラム、グリーンランドの氷河ビールといった世界に名高い極上の一杯を求める旅を取り上げます。

~米国 ケンタッキー州~

1934年創業のヘブンヒル蒸溜所(バーズタウン)。職人がバーボンの樽を空けていく。 (C)Heaven Hill Distilleries, Inc.

偉大なバーボンの蒸留所は、アパラチア山脈のふもと、ケンタッキー州の雄大な大地を背景に生まれた。

世界の主要なバーボンの蒸留所は、その大半がケンタッキー州北部の一角、ルイビル、バーズタウン、レキシントン、フランクフォートに囲まれた地域に集まっている。ジム・ビーム、メイカーズ・マーク、バッファロー・トレースといった名門蒸留所を訪ねてみよう。そこではきっと、驚くほど多様な種類のバーボンに出合えるはずだ。

ストレートバーボンとは、51%以上のとうもろこしを含む原料を、アルコール度数80度(160プルーフ)以下に蒸留し、内側を焼き焦がしたオーク材の新樽(たる)で2年以上熟成させたウイスキーのこと。オーク材を焦がすのは、バーボンに独特の色と風味を与えるためだ。

こうした共通の工程を経て造られていながら、ケンタッキーのバーボンは口あたりのいいもの、ピリッとしたもの、あるいはアルコール度数が60度もある強烈なものと、非常に多彩で個性豊かだ。風味もバニラやさくらんぼ、とうもろこしに似たものから、動物の皮を思わせるものまである。

琥珀(こはく)色のバーボンは、どのようにしてそれぞれの個性を獲得していったのだろうか。それを知るには、実際に蒸留所を訪ね、製造工程を見学するのが一番だ。大半のガイドツアーは最後に試飲をさせてくれる。蒸留所をはしごするうちに、ケンタッキーバーボンの生まれ故郷は、より一層魅力的に見えてくるに違いない。

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■ベストシーズン  4~10月は天候がよく、イベントも多い。9月末にはバーズタウンで「ケンタッキーバーボン祭り」が開かれる。

■旅のヒント  「ケンタッキーバーボントレイル」と呼ばれる公認のルートをたどれば、8つの大手蒸留所を1~2日で回れる。ルイビルは旅を始めるのに便利な町で、芸術、食、ナイトライフが満喫できる。エリア全域に高級ホテルや民宿があり、提携するレストランではバーボン付きの斬新な食事を出している。蒸留所をめぐる合間に食べ歩きやカントリー音楽の鑑賞、馬の飼育場や史跡の見学、アウトドア活動などを組み込みたい。

【見どころと楽しみ】
<バーボンのカクテル>
・バーボン本来の味を体験するならストレートで飲むに限る。そうでないなら水割りやロックでもよい。バーボンをベースにしたカクテルもある。
・オールドファッションドは、水、バーボン、ビターズ、砂糖を混ぜ、氷入りのグラスに注ぐ。オレンジスライスとマラスキーノチェリーを飾る。
・ミントジュレップはさわやかな夏向きのカクテル。氷とミントの葉数枚を入れたグラスにバーボンとシロップを注ぐ。伝統的に5月上旬のケンタッキーダービーで飲まれてきた。
・マンハッタンはバーボンとスイートベルモット(好みでビターズも)をかき混ぜる。冷えたグラスに注いだら、マラスキーノチェリーを飾る。
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