介護に必要なお金がどのくらいか、事前に調べておく人は少ないようです。しかし、厚生労働省の「介護給付費実態調査」(2012年4月審査分)によると、75歳以上の5人に1人は要介護。要支援を含めると、4人に1人となり、単純に計算すると父母と義父母のうち1人は該当することになります。さらに、準備が必要なのは親の介護だけではありません。将来必要になる「自分の介護」についても、あらかじめ考えておきたいところです。そこで、介護のお金に関する解説を3回にわたって掲載します。1回目の今回採り上げるのは、保険。公的保険のほか、民間介護保険について上手に活用するポイントを紹介します。
「見えないところで山のようにおカネがかかる」。20年にわたり祖母の介護を在宅で続ける50代男性はため息をつく。介護はこれからいくらかかるか、いつまで続くか──。子育て費用と違い、介護のおカネは見えにくい。
介護費用を手当てする基本となるのは自己資金、そして公的介護保険を柱とする社会保障だ。
介護費用の自己負担は「月3万~5万円が目安」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの山田静江さん。介護保険でサービスを受けると、自己負担は1割。これに全額自己負担となる介護サービスを頼んだ場合の合計額だ。
例えば「要介護2」で保険を最大限利用すると、個人負担は月約2万円。これに加えて、介護保険の上限を超えてヘルパー派遣を頼んだり、保険外の介護タクシー、家事代行サービスなどを利用したりした場合は100%自己負担となる。
では介護期間はどのくらいか。生命保険文化センター調査によると、平均介護期間は4年7カ月。年間60万円と仮定すると、約5年で300万円。そこで「介護費用として、1人300万円をめどに準備しておくといい」(山田さん)。
施設に入る場合、介護費用は自宅介護と同程度だが生活費が加わる。地域やタイプにより月約10万円から数十万円までと差が大きいが月20万円前後が多い。