世界の食の都を訪ねる食を愉しむ旅(2)ナショナル ジオグラフィック日本版

ナショナル ジオグラフィック誌がセレクトした、世界の食を愉しむ旅を紹介する本シリーズ。2回目は中国・四川省の成都、イタリア・ナポリ、チュニジア・チュニスの世界に名だたる食の都を取り上げます。

~中国 四川料理~

成都の繁華街。バーやレストランがずらりと並んでいる。(C)Best View Stock/www.photolibrary.com

「天府の国」と呼ばれる中国南西部の四川省へ行き、口から火が出るほどの辛さで有名な、絶品の四川料理を味わおう。

四川料理の特徴は「麻(マー)」と呼ばれるヒリヒリとしびれる辛さだ。この辛さは黒胡椒でもなければ唐辛子でもない。辛さの元は小さな山椒だ。その実は舌がしびれるほど辛く、柑橘(かんきつ)系の香りがする。

中国では、医食同源の考えが浸透している。たとえば、体を温める食べものは、湿度が高く、曇りの日が多い季節を乗り切るのに有効と信じられている。

だが、四川料理はただ辛いばかりではない。四川の料理人は、辛みや甘み、酸味、塩味など、あらゆる味と香りを絶妙にとり合わせ、地元の豊かな食材を最大限に生かす調理法を考え出してきた。

成都の西にある安瀾吊橋。(C)Japan Travel Bureau/www.photolibrary.com.

省都の成都は、四川料理を味わうのに最適の町だ。麻婆豆腐、魚香茄子、茶葉で薫製にした樟茶鴨(四川ダック)、牛肉細切り揚げの唐辛子炒め、宮保鶏丁(鶏肉とナッツの唐辛子炒め)、ザーサイをはじめとする漬物などいろいろある。火鍋も四川料理の名物だ。これは、2つに仕切られた鍋に、白濁したスープと唐辛子や山椒を入れた赤いスープをそれぞれ入れ、肉や魚介類、野菜を煮て食べるものだ。

また、中国の人は、アヒルの舌や蒸し煮にしたスッポン、腱、胃袋など、ありとあらゆる臓物を好んで食べる。

成都では街角の屋台、麺の店、レストランなどいたるところに食欲をそそる料理がある。豚肉の詰まった水餃子からおそろしく辛い担々麺まで、豊富にそろっている。

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ベストシーズン  成都を訪れるには4~5月と9~10月が最も快適。冬は寒く雨が多い。夏は蒸し暑い。

旅のヒント  最低2日あれば成都を満喫できる。成都パンダ繁殖研究基地を訪ね、街の骨董市をぶらつき、府南河沿いか人民公園にある茶館の一軒によって中国茶を飲み、猛烈に辛い四川料理を味わおう。四川オペラ(川劇)もぜひ鑑賞したい。