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「クール・ジャパン」海外進出の現状は

Jエンタの逆襲(上)

日経エンタテインメント!

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 アニメやマンガなど日本のエンターテインメントは、「クール・ジャパン(かっこいい日本)」と海外で評価されてきたが、ヨーロッパの経済危機や経産省「クール・ジャパン戦略推進事業」の事業仕分けによる抜本的改善など、海外進出を巡る状況は決して甘くない。官民一体でコンテンツ輸出を拡大し、産業界全体の躍進につなげている韓国などに押されているのは確かだ。日本は巻き返せるのか。「クール・ジャパン」の海外進出の現状を紹介する。

「クール・ジャパン」という言葉が誕生して10年目の今年、海外で話題になった日本のエンタ事業は世界地図をびっしりと埋めている(図1)。各地で行われているアニメ、ゲームフェスに加えて、グリーや吉本興業といった有力なエンタ企業も積極的に海外に展開。経済産業省はアジア市場の拡大をもくろんでシンガポールとインドに注力、海外進出する異業種同士をマッチングさせるなどサポートを強化していた。

ところが2012年6月の事業仕分けで経産省の「クール・ジャパン戦略推進事業」が抜本的な見直しを迫られることになった。「国がやるべき事業なのか」との批判に抗しきれなかった訳だが、背景には目覚ましい経済効果が得られていなかったという事情もある。

例えばフランスは、日本文化の博覧会としては最大規模の「Japan Expo」(JE)の開催国で、日本のマンガ・アニメがもっとも根付いている国の一つ。だが、外国コンテンツの放送の制限などもあり、映像の売買は成立しにくい。似たようなケースは各国にあり、日本貿易振興機構(ジェトロ)のコンテンツ産業課の幡野裕一氏も、「個々のイベントがこれだけ成功していることを考えると、もっと大きなビジネスにつながってもおかしくない」と指摘する。

そんな日本のつまずきを尻目に、韓国の官民一体となっての文化産業戦略は、この10年で見事な成果を挙げている。韓流ドラマ、K-POPといった個々のコンテンツのヒットを、ヒュンダイの自動車、サムスンやLGの家電製品といった産業界全体の躍進に、確実に結びつけてきた。

後れをとった形の日本のクール・ジャパンの問題点はどこにあったのか。そして起死回生の道筋は見えてくるのだろうか?

現地含め企業間連携がカギ

「そもそも、コンテンツ産業を大きくするという政府のプラン自体に無理があると思っていた」と語るのは、内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会の会長を務める、慶応義塾大学メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授。コンテンツ産業の規模はGDP(国内総生産)でほぼ決まってしまうため、コンテンツだけを伸ばそうとしても頭打ちになる。

「コンテンツ産業を」ではなく、「コンテンツ産業で」周辺産業を拡大すべきだというのが中村氏の提案だ。「そういう意味では、韓国の台頭は非常にいい刺激」と言う。これまでは経産省と文化庁、個々のアニメやゲーム企業が目立っていた海外フェスでも、最近になって観光庁、農水省、地方自治体、食品メーカーなどが積極的に参加するようになった。「今後、オールジャパンで取り組めるかどうか、今が過渡期」と見ている。

実際、パリのJapan Expoで日本サイドの出展窓口を務めているトーハンがまとめ役となり、アニメ制作大手のサンライズやアニソンに強いレコード会社ランティスはバンダイナムコグループとして協調するなど、企業間連携を深める動きは加速している。

ジェトロは海外6カ所の展示会でジャパンブースを開設するほか、海外進出を図る企業の相談に乗る。「近年アジアに拠点を開設したい企業が増えており、コンテンツ産業も例外ではない」と幡野氏。2011年には日本テレビが中天電視と合弁会社を設立、大手プロダクションのアミューズが現地法人を立ち上げるなど、台湾への動きが活発だった。ジェトロでは、サービス産業の海外進出支援も強化中。地域ごとの貿易投資相談アドバイザーや現地事務所の担当者らが多角的にサポートするが、「現地で独自のネットワークを作ることが一番有効」とか。

中村伊知哉氏は、「実感として、日本文化への憧れは確実に増している」と語る。20年前、来日する留学生のほとんどは日本の技術力にひかれていた。だが現在は、マンガやアニメを入り口に日本文化に興味を持ったという層が圧倒的だ。「あと20~30年たったら、世界中で日本に対する親しみは一層増しているはず。それは目先の経済利益とは比較できないほどの産業価値を持つ」と期待する。そのためには良質なポップカルチャーを産み続ける必要がある。景気や政権に左右されない継続的な人材育成や税制措置を検討すべきだと主張する。

日本人発で能動的な流れに

コンテンツ産業の海外進出が遅れた理由として、国内市場が大きいことが、逆に足かせになっているとの指摘もある。

たとえば韓国や台湾のアーティストは、ひとたび国外に出れば田舎町だろうが、演奏環境が整っていない場所だろうが平気でライブをするという。でも日本人アーティストはそこまではしない。日本のファンに「価値が下がった」と捉えられることを懸念するためだ。国内市場が大きく、日本のファンに支えられている産業だからこそ、海外営業がやりにくい現状があるのだ。

こうしたジレンマのなか、注目されるのが、近年拡大してきた日本人が主催する海外フェスの存在だ。イギリスの「HYPER JAPAN」、北米の「J-Pop Summit」、さらに電通シンガポールが仕切る「アニメフェスティバル・アジア」(AFA)など。日本の事情に精通した日本人が手綱を握ることで、日本側が売り出したい人材やコンテンツを能動的にアピールできる。現地のファンはもちろん、出展する日本企業や出演者からの評価も高まっている。

官の後退を民で補いつつ、クール・ジャパンは新たな潮流に乗ることができるのか。次回は、東南アジアや北米など、地域別の最新事情を見ていく。

(次回は10月8日に掲載)

(ライター 金井真紀、内藤悦子)

[日経エンタテインメント!2012年9月号の記事を基に再構成]

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