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頭の中からキレイを作る “囲碁ガール”急増中 イベント大盛況、入門者の9割が女性

2011/8/30

囲碁にかつてない異変が起きている。おじいちゃんの趣味と思われがちだが、囲碁普及団体が開催する最近のワークショップでは、参加者の7割、入門者のほぼ9割を20代~30代の女性が占めるという。

東京・麹町にあるダイヤモンド囲碁サロンを貸切り、囲碁普及団体「IGO AMIGO」(囲碁アミーゴ)が主催する夏恒例のワークショップ「浴衣de AMIGO」(2011年7月23日)。

囲碁ガールの増殖がおびただしい。数千年にわたる東洋の英知とも称えられる頭脳ゲームの世界で今、一体なにが起きているのか!? 女性には、オトコが驚くような“打つ理由”もあるという……。

今回取材したのは東京・麹町にあるダイヤモンド囲碁サロン。バーカウンターに生ビールサーバーも設置され、お酒を飲みながら碁を打てる。毎週水曜と金曜の夜は深夜まで営業し、初心者には入門レッスンも行う。町の碁会所は閉店時間が早く、また段位以上でないと相手にされないそうだから、碁を打つ場所としては「非常に変わっている」(同店のマネージャー)。碁会所が減少傾向にあるなか、当サロンはOLも含むビジネスパーソンを中心に活況を呈している。

ダイヤモンド囲碁サロン入り口。現在、会員数350名。女性利用者は会員及びビジターを合わせておよそ100人。2001年開業時に比べると、女性は10倍以上に増えたそうだ
生ビールサーバーを設置したバーカウンター。ときにはカウンターをはさんでスタッフと対局することもあるそう
ダイヤモンド囲碁サロンの経営者の1人、稲葉禄子(いなば・よしこ)さん。NHK、囲碁将棋チャンネルなどで囲碁番組の司会も務める

若い女性をまず狙う。オトコは二の次

さて、囲碁の世界に旋風を巻き起こした“仕掛人”は、囲碁のフリーマガジン「碁的」(2008年10月創刊)である。運営母体は、20代から30代の若者への囲碁普及を目的に活動する「IGO AMIGO」(囲碁アミーゴ)という非営利のボランティア団体だ。前出のダイヤモンド囲碁サロンとは交流があり、人的・物的な協力関係にあるとのこと。急増する囲碁ガールの現況について、碁的のプロデューサー兼IGO AMIGOのディレクターを務める松原独歩さんに話を聞いた。

IGO AMIGO代表を務める万波佳奈四段が入門者に石の置き方を手ほどきするところ

統計によると国内の囲碁愛好者は50代~60代の男性に偏り、10代はマンガ「ヒカルの碁」の影響で多少興じる人もいるが、20代~30代はゼロに近いほど少ないらしい。IGO AMIGOはこの現状を打開すべく、囲碁界のマドンナ・吉原(当時梅沢)由香里五段が仲間2人と発足した小さな会を前身に、2006年4月に正式に活動をスタート。入門者から級位者を対象にした月2回のワークショップ((注1))を基本に、2007年からは年1回の囲碁の祭典「囲碁フェスティバル」(注2)などのスペシャルイベントも開催。囲碁の魅力と楽しさを若者たちに伝えている。

若い世代への囲碁の普及を目的とするIGO AMIGOだが、その大きな特徴は、囲碁フェスで公開対局する女流棋聖戦「妙花」(みょうか)を立ち上げるなど、囲碁アピールを「若い女性にフォーカスしている」(松原さん)点だ。

「20代後半~30代前半の女性はトレンドメーカーで、最初に囲碁の面白さをつかむだろうし、囲碁グッズもかわいらしくアレンジしたり、カフェで打ち始めたりと情報発信能力に長けている。会場に女性がたくさんいると、たぶん男性も来てくれる。彼女たちの力に期待して、男性は二の次という順番です(笑)」(同)

(注1)日本棋院(東京・市ヶ谷)や、いずみ囲碁ジャパン(東京・八重洲)で開き、毎回80人~100人の参加者が集う。この5年間に150回以上のワークショップを開催、のべ1万人以上が参加した
(注2)囲碁フェスティバルは池袋サンシャインや六本木ヒルズを会場に、毎回平均して3000人以上の来場者を集める

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