自分なりに謎解き、心の中で「万歳」団塊オヤジのナメクジ探索

何だって、ナメクジは歩いた跡に銀の筋を残していくのか?

書斎の飼育棚を、深夜、ボーっと眺めていると、この種の疑問が次々湧いてくる。ナメクジは実に不思議な動物なのである。

自宅でナメクジに餌のキャベツをやる筆者

まず資料で調べる。日本には頼りになる本がない。役に立ったのは外国の専門書2冊だ。

外国の専門書を頼りに

1冊は旧ソビエト連邦時代にソビエト科学アカデミーが刊行したイ・エム・リハレフ、ア・イ・ヴィクトール著「ソ連邦の動物相 貝類第3巻第5分冊 ソ連邦および隣接諸国のナメクジのファウナ(動物相)」。ロシア語の堪能な貝類愛好家、故・大熊量平さんが翻訳して製本し、研究者に配布した。私はこれを、千葉県立中央博物館の上席研究員、黒住耐二さんに貸してもらった。

もう1冊は、米国のシアトルの書店で見つけたデイヴィッド・G・ゴードン著「FIELD GUIDE to the SLUG(ナメクジの野外ガイド)」(SASQUATCH BOOKS)。

「銀の筋」の役割を推理

書斎に置いているナメクジの飼育棚

基本的な体の構造や生態が分かったら、次はあれこれ推理する。

銀の筋を例にするなら、その正体は、頭部や腹部の下にある足腺から分泌される粘液だ。成分はムチンと呼ばれる粘性物質で、多糖類とたんぱく質が結合したものだ。

粘液の機能を私なりに推理すると、7つの役割がある。第1がカーペット機能。粘液を歩行面に敷き詰めれば滑らかに歩ける。第2が保湿。人間の体の水分が約60%なのに対し、ナメクジは85%。その上ナメクジの体は、薄い被膜でしか覆われていない。体を覆う粘液には、水分を逃がさない働きがあるのだ。