2014/2/28

東京ふしぎ探検隊

呉服橋交差点の地下に「封鎖された地下空間」があった

大手町から日本橋方面に地下通路を歩いて行くと、呉服橋交差点の手前で壁に突き当たる

東京駅周辺の地下網をよく見てみると、1カ所、「もう少しで隣とつながるのに」という惜しい場所がある。呉服橋交差点付近だ。

永代通りの下を大手町方面から延びてきた地下通路は、呉服橋交差点の手前でいったん途切れる。交差点の先から再び始まり、日本橋交差点の下からさらに茅場町まで通じている。

つまり、呉服橋交差点の地下に通路ができれば、地下網は一気に茅場町まで延びるのだ。これは惜しい。残念に思っていたら、USJの粕谷さんが教えてくれた。

「実は、呉服橋交差点の地下には既に地下通路があるんです。整備はされていませんが、空間としては存在しています」

どういうことか。「東西線を建設するとき、同時に地下空間を確保しました。当時、自動車専用道路を地下に造る構想があり、そのための空間と考えていたようです。場所は東西線の上です」

「東京地下鉄道東西線建設史」(帝都高速度交通営団)で確かめた。

「電電公社ビル前から東京ガスビル前までの道路は、都で地下自動車道路をつくる計画があった」「地下1階は将来計画の自動車道路の空間とし……」

確かに記述があった。電電公社ビルというと、今の大手町ファーストスクエアのあたり。C12出口付近だ。東京ガスビルは日本橋にあるTGビルで、ちょうど日本橋駅から延びてきた地下通路が終わる地点だ。大手町から日本橋は、既に地下でつながっているのだ。

粕谷さんによると、空間は高さが3メートル前後。呉服橋交差点の下は首都高があるため、1メートル50センチと天井が低くなっているという。現在は完全に封鎖され、中を見ることはできない。

地下鉄日本橋駅から茅場町駅までは、地下通路がつながっている

USJでは中央区に対し、この空間を整備して地下網を広げる提案をしている。ただし呉服橋交差点では通路の高さをもう少し高くするため、首都高の天井を下げる工事が必要だという。

さらには地下通路を北に延ばして三越前駅方面へとつなげる構想も提案中だ。首都高の地下化とセットでの実現を目指している。

ますます広がる東京駅の地下空間。今後の展開から目が離せない。(河尻定)

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