国をあてにし過ぎず、貯蓄は「義務」曽野綾子さん

2012/9/5

――著書『老いの才覚』が104万部のミリオンセラーとなりました。「貧しさを知らないから豊かさが分からない老人が増えてきた」「年をうまくとる作業を、年をとってから始めたのでは遅い」といった辛口のメッセージが女性を中心に支持されています。

どうやったらベストセラーが書けますかとよく聞かれますが、全くの運次第ですね。ただこのテーマに関心を持つ人が多いということはいえるのでしょうね。

曽野綾子(その・あやこ) 作家。1931年東京生まれ。聖心女子大学英文科在学中に作家デビュー。文筆活動に加え、社会活動にも力を注ぐ。カソリック教徒で1979年ローマ法王庁よりヴァチカン有功十字勲章受章。1995年から2005年まで日本財団会長、現在日本郵政社外取締役。(撮影:竹井俊晴)

ことに東日本大震災のようなことがあると、行政に助けてもらおうとしても、とても手がまわらない。人間が自分を助けるのは、大方は運ですけれど、自分で才覚を働かして、生活を切り開いていくのだという決意はやはりいるでしょうね。

今の世の中は何にでもマニュアルがありますが、私が子供の頃に母親に厳しくいわれたのは、何事についても、自分の頭を働かせて判断しなさいということでした。みんながいうように自分独自の人生というものが貴重なら、それを作り上げるのは自分だけしかいない。自分で試行錯誤して、親も世間も教え切れないことを自分で解決する。それが才覚ということだと思います。

――日本で今進んでいる超高齢化社会は、まさしく前例というマニュアルがない世界です。

たくさんの人間がこんなに長く生きるようになったのは歴史上なかったこと。日本人の平均寿命は今は80代ですが、そのうちに100歳を超す老人も珍しくなくなるでしょうね。

ありがたいのは、今の日本ではさまざまなチョイスが許されていることです。

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老後に孤独に暮らせるのは、お金持ちの国だからこそ