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歴史博士

2012/6/14

歴史博士

80代からストレッチ運動で健康維持

屈伸法を実践する渋沢栄一=渋沢史料館提供

80代からは「屈伸道」を始めた。柔術家の坂本謹吾が始めた健康体操で「渋沢は時折坂本を自宅に招いて熱心に行った」(井上館長)。正座や立った姿勢から背骨を中心にゆっくり体を曲げたり伸ばしたりする。現在のストレッチ体操に似た運動だったようだ。1動作を30秒から1分かけて行い朝晩5分から10分体を動かせばよいため、無理なく体操できるところが渋沢の好みに合ったのだろう。1929年(昭和4年)に発行した「坂本屈伸道」(教育研究会)という本には自らの体操写真も掲載させて推薦している。

渋沢は規則正しい生活も守った。最晩年の日常は「朝6時半起床、時々坂本氏の屈伸道を行う。夜は10時ごろ就寝。朝食はオートミール茶わんに2杯、パン5、6片、鶏卵目玉焼き2個。コーヒー、果実。夕食は米飯軽く2杯、副食物は日本料理の軽いもの。野菜、魚、ひき肉、汁など。特に野菜を好む。時に昼食の代わりにコーヒー、果実を採り間食に好んでアメを食す」(渋沢栄一伝記資料49巻)。だいたい1日2食だったようだ。

明治のリーダーたちは「方法はさまざまだが自分が良いと思った健康法を迷わず実践し続けた」と伊藤京大教授は指摘する。さらに「山県らは身近に心を許した家族や友人があった。だから現実的な判断力を失わずに生涯現役を続けられたのだろう」としている。一方、井上館長は「渋沢には最晩年でも社会的な出番がいつあってもよいように備えておくという意識があった。それが積極的な健康維持につながった」。「出番に備える」高齢者をどれほど多く確保できるかが社会の活性化へのカギにもなりそうだ。(電子整理部 松本治人)

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