では、どんな兆しに気をつければよいのか。「午後は眠くて仕事が手につかない、食事を変えていないのに急に太ってきた、疲れやすい、健康診断で中性脂肪の数値が上がった──は要注意サイン。朝の目覚めが悪く、午後から夕方にかけて眠い人は夜間に低血糖になっている可能性があります」。
下のグラフを見てほしい。1日目の夜は「不眠」なのに、2日目は「よく眠れている」。その違いはなんだろう。1日目は夕食にカレーなどを食べ、さらに乾パンと金平糖を食べて、血糖値が急激に上昇。「血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌され、その後血糖値が下がり過ぎて、睡眠中に低血糖状態に。この時間帯は、不眠となってしまいます」。
2日目に注目してみよう。パンやカレーを食べると血糖値が上がったが、昼食に糖質制限ランチを食べるとそれほど上がらず、夕食も糖質制限弁当を食べたため血糖値が安定。夜間にも下がり過ぎず、安眠できた。「食事の糖質を控えると、すぐに血糖値は安定する。私の講演会でも昼食に糖質制限弁当を出すと『午後の講義は眠くならなかった』と驚かれます」。
■まずは糖質を控えるべき 変化はすぐ感じられる
要は、血糖値を急に上げないような食生活を送ればいいのだが、現在の食環境はそれに逆行している。白米やパン、パスタなどの糖質は肉や魚に比べると安価で、手早くおなかを満たせる。「厚生労働省は食事全体の6割は糖質を取れと基準を出していますが、これは多過ぎます。なかには9割近く糖質を取っている人もいる」と溝口さんは指摘する。
精製された白米や、小麦粉を使った真っ白なパンは吸収がよ過ぎて、血糖値が上がるスピードも速い。なかでも象徴的なのが砂糖だ。「もともと自然界にはなかったもの。人間の体は急激に血糖値が上がることに耐えられないのです」。
不調を感じている人は、まず2~3週間、昼食と夕食の糖質を制限するよう溝口さんは勧める。「糖尿病の治療で血糖値を下げる薬を飲んでいる人を除いて、誰でも安全にできます」。白米やパン、甘いものを食べないで、その代わりに肉や魚、豆類を食べる。「ダイエットのために肉を食べないという人がいますが、たんぱく質はもっと取るべきです」。