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中国教育用タブレット、「平均月収並み価格」の実力

中国専門ITライター 山谷剛史

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NIKKEI STYLE

日経トレンディネット
日本と同様、中国でも子供の教育や知育に、タブレットなどのデジタルグッズを活用しようという機運が高まっている。現在、中国で販売されている学習系デジタルグッズは、知育コンテンツが入った幼稚園児向けと、補助教材的な位置付けの小学生向けに大別できる。小学生向けの主流はAndroid(アンドロイド)タブレットで、次々と新機種がリリースされている状況だ。中国在住のIT(情報技術)ライターの山谷剛史氏に、最新状況を報告してもらう。

電子ブックリーダー用にタブレットが欲しくなった筆者は、せっかくなら変わりダネのタブレットを買おうと北京の電脳街に繰り出した。すると、タブレット型の新しい学習機が目に飛び込んできた。

中国での買い物は「買う前にパッケージを開け、電源入れて、見せて、触らせて」が基本。そして、実際の店舗が素晴らしいのは、店員とのやり取りに人情味がある点だ。特に電脳街は家族経営の店が多いため、身の上話が聞けるというボーナスまで付いてくる。

普段は「地方出身のちょっと中国語が下手な中国人」を自称している筆者だが、今回はすぐに外国人だとバレてしまい、ならばと「中国の教材に関心がありまして…」などと言いながら見せてもらうことにした。

いろいろな学習機に触ってみた結果、学習機・電子辞書メーカーとして中国で著名な諾亜舟の「U7」という製品が気に入った。購入が決まると店員は、「SDカードも原価で売ってあげるよ。アンタが教材をダウンロードするのは大変そうだから、代わりにダウンロードしとくわ」と店のパソコン経由で同タブレット専用の教育コンテンツをダウンロードし、SDカードに入れてくれたのだった。

高い割にスペックが低いワケ

この「U7」はAndroid 4.2を搭載し、7型のIPS液晶(1280×800ドット)を採用。「超薄」をうたってはいるものの、本体サイズは幅131.2×高さ187×厚さ9.8mm。重量はカバーなしで343gとなっていて、日本の製品に比べるとだいぶ大きく、重い。

バッテリー容量は3500mAhだ。インターフェース類としては、microHDMIコネクターとmicroUSBコネクター、電源コネクター(電源は専用ACアダプター経由)、イヤホンジャック、それにmicroSDスロットが用意されている。

CPU(中央演算処理装置)については「高速処理器」としか書かれていないため、ベンチマークアプリ「Quadrant Professional Edition」で処理性能を計測したところ、デュアルコアのARMv7(1.0GHz)であることが判明した。ROM(読み出し専用メモリー)は8GBだが、うちシステムで4.3GB、アプリで3.6GBを占めていて、空き容量は350MBほどしかない。

同スペックの製品なら、中国ではわずか350元(約5600円)で購入できる。日本で買うにしても1万円でお釣りが来るレベルなので、この製品の1680元(約2万7500円)という価格は明らかに高い。「アプリストアでは同じ物をダウンロードできない」と店員が言う、教育アプリの価格が高いようだ。

ホーム画面は子供に配慮したつくり

ホーム画面はAndroidの標準画面に加えて「教育用ホーム画面」が用意されている。画面下のアイコンをタップするだけで簡単に切り替えることができる。プリインストールアプリとしては、中国向け製品の"暗黙のお約束"通り、Google(グーグル)製アプリは搭載していないが、代わりに中国製アプリが入っている。

プリインストールされているコンテンツとしては、女の子向け人気アニメ「芭芭拉小魔仙」のキャラクター壁紙やテーマソングなど、子供を意識したものが目立つ。中国のこの手の製品はお買い得感を出すためにさまざまなゲームをバンドルすることが多いのだが、この端末には全く入っていない。

コンテンツの出来の良さにちょっとショック

Androidのメニュー画面では、子供向けにフィルタリングが設定されたWebブラウザーのほかには、わずかばかりのアプリが用意されているだけ。遊びの要素もなく実にシンプルなものだ。

一方、教育コンテンツ用のメニュー画面は、まず「春の学校」をテーマにしたメーンメニュー画面が表示され、左右にスライドさせると英語(夏のメニュー画面)・中国語(秋のメニュー画面)・算数(冬のメニュー画面)・その他の教育コンテンツや設定(近未来の画面)の4画面が表示される。

画面上のアイコンや大きな文字をタップするとアプリが起動したり、細かいメニューが表示されたりするのはタブレットの基本通りだが、マスコットキャラクターらしいひよこや、夏の太陽、春の草原などをタップすると、ちょっとした動きを見せる。

そして各教科のコンテンツはものすごく豊富だ。例えば中国語だったら専用の漢字の練習アプリや文字ごとの発音練習アプリ、さらに辞書、作文教室アプリもある。算数、英語にもそれぞれに十数個のアプリが用意されている。

各教科書に準拠したテキストと練習問題・テストのアプリが用意されている。教科書準拠のテキストには各所にハイパーリンクが張られていて、単語などをクリックするとより細かな説明を読むことができる。

中学生向けや未就学児用コンテンツも搭載

最初に出てくる「春の学校」のメニュー画面に、さりげなく置かれたキャラクターアイコンがある。これをタップすると「入学前のトラ」「小学1年生のペンギン」「中学1年生のキツネ」といったキャラクター一覧が登場する。

いずれかのキャラクターをタップし、自分のキャラクターを変更すると、メニュー画面が一転して、アイコンは入学前の幼児に向けた学習用コンテンツのアイコンや、中学生向けコンテンツのアイコンがズラリと並ぶ。

端末のプリインストールばかりでなく、学習コンテンツは「諾亜舟」のメーカーサイトでも各教科の教科書対応教材が用意されている。各教材アプリは、独自の拡張子が付いたファイルをパソコンにダウンロードし、それをU7に転送することで利用可能になる。動画コンテンツも多数用意されているが、家に無線LANルーターがあることが前提となっており、ストリーミングで視聴するスタイルだ。

クラウドコンテンツ「雲学習」にも、クラウド上で動く学習アプリが多数用意されている。中国で販売されている偽物のWiiで見たようなやっつけ仕事のものは少なく、多くが実用的でやり応えがあるアプリだ。さすがに幼稚園や小学校低学年の子供が、進化の速いタブレットを5年、10年と使い続けるとは思えないが、コストパフォーマンス的には非常に良好ではなかろうか。

過去にさまざまなゲーム機が解析されて海賊版ソフトが登場したが、諾亜舟製品向けのアプリやコンテンツは、同社のネット上にアップされているにもかかわらず、今のところ誰一人として海賊版を流していない。つまり、普通のタブレットやスマートフォン(スマホ)を買っただけでは諾亜舟のアプリは使えない状態にあるわけだ。ほかでは手に入らないという意味で、中国ではすごく価値があるとも言える。

コンテンツについてあまりに説明不足

ただし、この製品にはものすごく大きな問題がある。漠然とした言い方で恐縮だが、すべてが手探りなのだ。

説明書はハードウエアの紹介に偏っていて、ソフトウエアの説明がない。チュートリアルもあるにはあるが、あまりに簡素、いや粗末だ。説明書もそうだが、IT系ニュースサイトのレビュー記事でも、どれだけのコンテンツがあって、どうやったら切り替えられるかについてすら全く触れられていない。購入したショップの店員も小学生コンテンツ以外は一切説明してくれなかったあたり、ほかのアプリがあるとは知らなかったのではないだろうか。パッケージ写真も小学生向けコンテンツの写真しかなかったため、筆者自身も中学生向けや入学前コンテンツがあるなんて思いもよらなかった。

U7を中国人の小学生や親に触らせて観察してみると、子供は好奇心のままにあれこれ触り、中学校向けのメニュー画面に切り替えたり、自分なりに好きなコンテンツを見つけ出した。対して、親は表示されているメニュー画面のアイコンだけをタップし起動させて「ダメな製品だ。これは買うに値しない」と顔を曇らせた。

コンテンツは豊富だが説明書が貧弱で、「コンテンツには自力でたどり着け」と言わんばかりの製品は中国ではありふれている。これまでレビューした製品の多くもそうだった。この製品は"当たり"だが、中国でのモノ作りの悪習慣により、埋もれてしまうようではあまりにもったいない。

山谷剛史(やまや・たけし)
 海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国のIT事情を知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国専門ITライターに。連載に「山谷剛史のアジアン・アイティー」、「山谷剛史のチャイナネット事件簿」など。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014(インプレス R&D)」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」(ソフトバンククリエイティブ)。

[日経トレンディネット2014年5月2日と5月9日付の記事を基に再構成]

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