[ナショジオ]木星の衛星エウロパに生命は存在するか宇宙生物学のいま

2014/6/29
ナショナルジオグラフィック日本版

ここは米国アラスカ州の湖。厚さ30センチの氷の下で何かが光り、「成功だ!」と歓声が上がった。

極寒の湖で氷に開けた穴を見つめているのは米航空宇宙局(NASA)の研究者たち。カリフォルニア州にあるNASAジェット推進研究所から送られた電子信号を受信して、氷の下をはい回る小さな無人探査機がヘッドライトをつけたのだ。

実はこの探査機の試運転は、木星の衛星エウロパの探査に向けた、最初の小さな一歩だという。その目的はなんと、地球外生命を探すことだ。

水のあるところに生命あり?

私たちが知っているような生命が存在するには、液体の水が不可欠だと生物学者は考えている。水は栄養分を溶かし込み、全身に送り届ける強力な溶媒として働くからだ。

木星の衛星エウロパは、表面を厚い氷に覆われている。太陽から約8億キロメートルも離れているので、水は深いところまでカチカチに凍っていると考えるのが当然だ。しかし、エウロパは木星や他の衛星との潮汐作用によって絶えず変形し、熱を生じているため、氷の下には液体に保たれた水があるという。エウロパの表面に走る無数の亀裂が、氷の下に液体の水でできた海がある証拠だ。

エウロパにあるのは、液体の水だけではない。海底には地球と同じような熱水噴出孔があるかもしれないし、地表にぶつかる彗星(すいせい)は有機物をもたらしてくれる。木星から飛んでくる荷電粒子は、エネルギー豊富な化合物を生成する。つまり、生命の基本的な材料がそろっている可能性が高いのだ。

わからないのは、それらの化学物質が厚さ15~25キロメートルもありそうな氷の下まで到達する道筋だった。だが氷にはたくさんの亀裂がある。

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