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GW公開のマンガ原作映画 『テルマエ・ロマエ』VS『宇宙兄弟』

日経エンタテインメント!

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年間700本もの作品が公開されるなか、多くの人が本当に見たいと思っている映画とはどのような映画だろう。「日経エンタテインメント!」誌では今年の2月号で、映画情報サイト「映画.com」と共同で計1000名にアンケートを実施した(10代~50代の各世代について男女100名にアンケートを行った)。

その結果、ゴールデンウイーク公開の映画で関心の高さがうかがえたのが、ともにマンガを原作とした映画の『テルマエ・ロマエ』と『宇宙兄弟』だ。『テルマエ・ロマエ』は、女性では20代で6位、30代で8位と支持された。一方の『宇宙兄弟』は、新垣結衣、恩田陸など著名人&業界人アンケートで人気が高かった。原作は、いずれも累計発行500万部超の人気作。『テルマエ・ロマエ』は2010年にマンガ大賞、手塚治虫文化賞を受賞し、『宇宙兄弟』は2011年小学館漫画賞、講談社漫画賞を受賞と、同時期に注目された作品でもある。

ともに公開規模は300館超とライバル的な存在。とはいえ、前者は、古代ローマと現代日本の風呂場を行き来するコメディ、後者は兄弟が宇宙を目指すヒューマンと、タイプは全く異なる。キャスティングへのアプローチの違いにも、それぞれのこだわりが反映されている。

日本の風呂場へタイムスリップした古代ローマ人を描く『テルマエ・ロマエ』。「一読して"笑撃"を受けました。ただ実写化はないなと…」と話すのは、フジテレビのプロデューサー・稲葉直人氏。だが、たまたま阿部寛が表紙を飾るファッション誌を見た瞬間、「ルシウスに見えてしまったんです(笑)。そして、外国人俳優ではなく、むしろ阿部さんが演じたほうが面白くなる」と確信したと言う。原作者のヤマザキマリ氏は、「日本人と聞いて驚いたけど、阿部さんの日本人離れした容姿、職人気質でストイックな雰囲気はルシウスそのもの!」と歓喜の様子だ。

終始大切にしたのは、「バカバカしいことを大真面目にやる」こと。そして、「見る人をワクワクさせる映画にする」こと。そのカギとなるキャスティングは、ビジュアルのインパクトはもちろん、「誰と誰をかけ合わせれば新鮮で爆発力のある化学反応が起こるか」を考え抜いた。阿部の脇を固める古代ローマ人役の、市村正親、北村一輝、宍戸開の起用は、彫りの深い顔立ちかつ、共演した際の組み合わせの妙も考えられている。

ルシウスが日本で出会う"平たい顔族(日本人)"は、笹野高史や竹内力を起用。脇役にも目を光らせ、「パンチ力のある純和風顔の人」を求めオーディションを重ねた。「"平たい顔オールスターズ"は自信あり。なかでも、ルシウスが最初に出会う老人と、家庭用風呂に登場する老人が最終兵器です」。

古代ローマと和の融合

イタリアロケにこだわり、撮影はローマ郊外にある世界最大級のオープンセット・チネチッタで行われた。チネチッタは、フェリーニの『8 1/2』やヴィスコンティの『白夜』など、数々の名作を生み出した名門スタジオ。ハリウッド映画では『ゴッド・ファーザー3』や『M:i:3(ミッション:インポッシブル3)』にも使われている。撮影を何度も見学したヤマザキ氏は、「荘厳なセット内で動く日本の俳優さんはローマ人そのもの。周りのイタリア人も彼らが東洋人だとは気がついていません。人種のフィルターが取っ払われるようでした」と語る。

一方の『宇宙兄弟』は、幼少時代に宇宙に行く約束をした兄弟の物語。「家族ドラマが好き。成人して別の道を歩く兄弟がこの先どうなるのか、映画にしたいと思いました」と話すのは、『ゴールデンスランバー』『岳‐ガク‐』を手がけた東宝・臼井央プロデューサー。タッグを組む川村元気プロデューサーは、「『2001年宇宙の旅』や『アポロ13』に憧れていたので、宇宙映画の製作は夢でした。『宇宙兄弟』なら、まさに宇宙を舞台に人間ドラマが描けると思いました」と明かす。「ロケット発射シーンをNASAで撮影したり、月面の巨大セットやCGでロケットを作るなど、大がかりな演出もあります。でもこれらはすべて、兄弟のドラマを引き立てる豪華な舞台装置です」(川村氏)。

表現方法の異なるマンガと映画。作品のコンセプトと登場人物像をブレさせないことを重視した。原作者の小山宙哉氏と何度もディスカッションを重ねた。「自分のペースで読めるマンガと、自動的に時間が流れる映画とでは、情報の受け取り方が全然違う。マンガで受けた感情や感動を、映像でどう表現するか。キャラクター、セリフ…と詰める必要があった」(川村氏)。

主人公の兄・六太(むった)は、弟の才能に勝てないと自覚するも、兄のプライドを守り奮闘する。彼の三枚目キャラは魅力の1つだ。「六太のイメージは、手にバナナを持ったまま、カッコいいセリフをしゃべっている感じ、と小山さんが言っていた。カッコいいことを言いながら、どこか外すのが六太らしさ。この"バナナ理論"は、最後までチームで共有しました」(臼井氏)。

キャスティングは、「"絵"があるマンガ原作は、ビジュアルの共通イメージがあってやりやすい半面、逆に枷(かせ)になることがある」と臼井氏。「見た目はあくまでも見た目。映画を見終わった後、演技を通じてキャラクターがどう見えてくるかが重要」(川村氏)と、六太役に"一見似ていない"小栗旬を配した。「実際の小栗さんは、中身は三枚目なところもあるし苦労人で努力家。30歳を目前にした彼の素地は、六太に重なると考えました。弟・日々人(ひびと)役の岡田将生さんは、ナチュラルで飄々(ひょうひょう)としている点が重なります」(川村氏)。

配役の際、ビジュアルと組み合わせを考え抜いた『テルマエ・ロマエ』と、キャラクターに近い素地を重要視した『宇宙兄弟』。この違いがどう生きるのか、注目だ。

 (C)ヤマザキマリ/エンターブレイン (C)小山宙哉/講談社 (C)2012「テルマエ・ロマエ」製作委員会 (C)2012「宇宙兄弟」製作委員会

【マンガ原作映画の成功のポイント 原作のキャラや設定を借りてオリジナルを演出】

オリジナル脚本の映画が難しい今、原作ありの映画は定番だ。

『闇金ウシジマくん』『ひみつのアッコちゃん』をプロデュースする山口雅俊氏は、「人気原作だと、タイトル、キャラクターとおおよその内容が認知されている。説明が不要なのは大きい」と話す。一方で、「絶対に外してはいけない原作の世界観は押さえ、キャラクターと設定を借りてテーマは時代によって変える」とも。『~アッコちゃん』では、魔法のコンパクトで呪文を唱えると変身する設定や、好奇心旺盛なアッコ像は生かし、ストーリーは原作を一切使わず、オリジナルで展開している。

2011年にヒットしたマンガ原作の映画を振り返ると、『GANTZ』のラストは映画オリジナル、『モテキ』は、女性キャラクターも脚本もオリジナルだった。原作の知名度を生かし原作ファンの心もつかみながら、映画ならではの新たな面白みを演出できるかに、作り手の腕がかかっている。

(ライター 平山ゆりの)

[日経エンタテインメント!2012年2月号の記事を基に再構成]

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