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60歳を過ぎたら、自分の人生に決着をつける “生涯現役”貫く 作家・森村誠一氏

2012/8/3

79歳になっても年間数冊の小説を書き下ろすなど、“生涯現役”を貫く作家の森村誠一氏。「超高齢社会を迎えた日本で、高齢者はどう生きていけばいいか」と尋ねると、「老後は、他人から干渉されない人生を歩めるのだから、やりたいことをやって、ぜひ自分の人生に決着をつけてほしい」とアドバイスしてくれた。

■60、70代は「余った生」ではない

――本はいまだにすごいペースで出されていますね。

もりむら・せいいち 1933年、埼玉県熊谷生まれ。青山学院大学英米文学科卒業。ホテルマンとして働きながら執筆をはじめる。69年『高層の死角』で江戸川乱歩賞(第15回)、73年『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞(第26回)を受賞。2011年『悪道』で吉川英治文学賞(第45回)を最高齢(78歳)で受賞。俳句にも造詣が深く、近年、写真と俳句を合体させた「写真俳句」に力を入れて、散歩や旅行のときもカメラを持参している。著書に『人間の証明』、『悪魔の飽食』、『忠臣蔵』、『新選組』などの代表作のほか、『老いる覚悟』、『五十歳でも老人 八十歳でも青年』などがある。

森村 古い本が蘇ったりして年間40冊くらい出ているのですが、新たに書き下ろすのは年間5~8冊です。

――森村さんは、著書『老いる覚悟』で「老後は時間を無駄にするのが一番いけない」とおっしゃられています。

森村 10代、20代と60代、70代になってからとは、時間の濃さが違います。若い頃は何もしないで時間を乱費していても特に何も感じなかったのですが、60歳以降は時間が煮詰められてくる感じがしています。

60代、70代は、もう「余った生」ではないですね。「必然的に人生に組み込まれている期間」です。でも、それまでの時期とは性格が異なります。

学生時代を第1期、現役で働く時期を第2期、60歳以降を第3期としますと、第1期は他人の期待で生きている。第2期は、会社、組織、集団、国家などの一員としての責任、使命、義務で生きる。第3期はそういうアウトサイドからの責任、使命、義務がなくなります。

60歳までは、自由業の人でも何かに所属していて、大きな渦の中に巻き込まれながら仕事をしている感じがするものですが、60代では、そうした感覚から解放されます。

――森村さんは一足早く、ホテルマンの仕事をやめてられていますから、若いときから、それに近い感覚はあるのではないですか。

森村 会社にいると、どんなにおいしい料理を作っても、「これは会社が提供してくれた食材だ」と感じます。「包丁まで貸与されている」と。どうせ料理を作るなら、自分の食材で作りたいと思いました。自分の包丁で、自分の時間で作りたい。そういう意識が30代後半になって強くなりました。

ホテルを途中退社したときに、自由を得ました。それまでは給料をもらって会社の時間を使っているという感じがしていました。会社の時間だったら少しくらいサボっていいと思うのですが、今度は自分の時間ですからね。大切にするんです。

ただ、今にして思うと、僕はホテルという人間観察の宝庫にいた気がするんです。いろんなお客様に対応しますし、ホテルに来られる方の目的は多様なんです。アテンドする時間が24時間ですから、昼と夜とで人間の生態も変わる。

――小説を書くにあたってはどんな準備をなさるのですか。

森村 作品によって違います。私小説はそんなに取材は要りませんが、社会性のある作品、エンターテイメント系の作品、時代物はかなり取材をします。

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