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2つの台風が迷走「藤原の効果」 2012年も起きていた 気象予報士 伊藤みゆき

2013/10/24

2013年10月16日、台風26号によって伊豆大島に甚大な被害が発生し、その復旧作業もままならないうちに南の海上には台風27号、28号が控えています。

27号に対する注意は先週から報じられていたところに、28号が発生。今後北上するとの見方から「台風が合体して日本に来ることはないの?」と聞かれることが多くなりました。

■台風27号・28号はどうなる?

10月22日の気象衛星画像。日本の南の海上に台風27号、画像中央が28号。いずれも丸い形で、目もはっきりしている

「今回は、まず無いよ。もし台風同士近づくと“藤原の効果”でそれぞれが複雑な動きをすることがあるよ」と答えると、今度は「“藤原の効果”とは?」となります。

“藤原の効果”は気象関係者なら必ず目や耳にする気象用語です。

気象庁のHPでは「2つ以上の台風が接近して存在する場合に、台風がそれらの中間のある点のまわりで相対的に低気圧性の回転をすること」とあり、「台風が、藤原の効果により相互に作用して複雑な動きをする」という用例が記されています。

近い位置(中心の距離が1000キロ程度という目安もある)にある台風が干渉しあって、急に向きを変えたり動きが遅くなったりするのです。

この用語を初めてに耳にした人には「歌人みたいだけど」と言われます。それは、藤原定家ですね。

「藤原の効果」の藤原氏は、長野出身の気象学者・理学博士の藤原咲平氏です。出身地の諏訪市のHPによると、明治17年に旧上諏訪町で生まれ、旧制一校卒業後、東京帝大理科物理学科に入学、大学院在学中から中央気象台(今の気象庁)技術見習員の講師を務めました。

明治44年に中央気象台に入台し、昭和16年に第5代中央気象台長に就任しました。大正10年に熱帯低気圧の相互作用を提唱したため、彼の名前をとって「藤原の効果」と呼ばれています。

「渦動の向対称の原理」など数々の論文のほかに「雲を掴む話」「気象と人生」など一般向けの著作も多数あり、お天気博士として親しまれました。また昭和7年には霧ケ峰グライダー研究会を設立し、昭和9年には日本で最初のグライダー大会を霧ケ峰で開催したそうです。

霧ケ峰強清水のグライダー滑走路脇には氏の胸像と記念碑があり、

「草に臥て 青空見れば 天と地と 我との他に何物もなし」

という歌が刻まれています。

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