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三池崇史や堤幸彦に続く、いま注目の映画監督とは

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 「邦高洋低」時代といわれる昨今、日本映画界を引っ張る監督はどんな顔ぶれだろうか? 2012年にそれぞれ「悪の教典」、「SPEC~天~」を20億円超のヒットに導いた三池崇史と堤幸彦が圧倒的な監督作品数を誇るなか、助監督出身の職業監督、テレビ出身、自主映画やCM・ミュージックビデオ出身など、多彩な才能が活躍を始めている。三池、堤の両監督に続き、今後、活躍が期待できる注目株を紹介する。

2012年、NHKから独立後初監督作となった「るろうに剣心」が興収30億円の大ヒットとなった大友啓史、監督2作目の「ヘルタースケルター」が興収20億円を記録した蜷川実花、「桐島、部活やめるってよ」がロングランヒットとなり、報知映画賞監督賞やTAMA映画賞最優秀作品賞などを受賞した吉田大八――映画監督の新しい顔ぶれが増えている。

こうしたなか、昨今話題の大作に起用される監督は誰か?

2010~13年の東宝、東映、松竹の邦画大手3社の配給作の監督本数をまとめてみた(図1)。

1位は三池崇史堤幸彦の6本。三池監督はワーナー・ブラザース映画配給で2011年に「忍たま乱太郎」、2013年に「藁の楯 わらのたて」を手がけており、これを含めると全国公開規模は8本で実質1位といえる(堤監督は20世紀フォックス配給で2011年に「はやぶさ/HAYABUSA」を監督)。昔から年2~3本のペースで監督する多作だったが、近年も時代劇「一命」「十三人の刺客」、昭和の純愛マンガをミュージカル調に映画化した「愛と誠」、バイオレンス小説の映画化「悪の教典」など、ジャンルがボーダーレス化しているのも特徴だ。

一方、堤監督は「TRICK」「SPEC」と笑いの要素を入れる独特の世界観が持ち味だが、バンドを結成する高校生を主人公にした人気マンガの映画化「BECK」や、段ボールハウス生活者に焦点を当てたモノクロ映画「MY HOUSE」といった意欲作も。

この二人に続くのが4本の阪本順治成島出橋本一。1989年「どついたるねん」で監督デビューした阪本監督は骨太な男性ドラマを得意とする一方、原田芳雄の遺作となった人情喜劇「大鹿村騒動記」や吉永小百合主演の「北のカナリアたち」など、日本映画の王道ともいえる作品を作り上げた。

成島監督は、過去には「クライマーズ・ハイ」、近年では外科医が主人公の「孤高のメス」、山本五十六に焦点を当てた「聯合艦隊司令長官 山本五十六」など男性の生き様を題材にした作品が多かったが、女性を主人公にした母性がテーマの「八日目の蝉」で、2012年の映画賞を総なめにした。

橋本監督は東映の社員。同社が製作するテレビドラマの映画化「相棒シリーズ X DAY」「臨場劇場版」や、探偵と助手が北の大地で暴れ回るハードボイルド・アクション「探偵はBARにいる」シリーズを手がけている。

3本を手がけた監督は8人いるが、一番若いのが三木孝浩(38歳)。「ソラニン」で2010年に監督デビューして以降、2012年は「僕等がいた」前後篇、2013年は10月に松本潤と上野樹里のラブストーリー「陽だまりの彼女」が控える。ラブストーリーを得意とし、光のキラキラ感を取り入れて恋愛の切なさを表現するのが特徴だ。

三池監督の人気の秘密は?

トップ2の監督と仕事をした経験を持つ、TBSの濱名一哉スペシャリスト局長映画事業担当は、「三池さんはアイデアが豊富。プロデューサーをはじめいろんな人が意見を言い、原作者の意向もある。それらを咀嚼(そしゃく)して、黒か白かと分けるのではなく、いい方向に持って行く力があります」。堤幸彦監督に関しては、「テレビやCMの仕事に始まり、TBSでは連ドラ発やオリジナル映画、他局だが『20世紀少年』3部作をやり遂げた腕力はすごい」と評する。

三池の最新作「藁の楯」をプロデュースしたワーナー・ブラザースの小岩井宏悦・ローカルプロダクション本部長は、「リアルな映像とアクションがちゃんと撮れ、悪役のキャラクター作りがうまいこと」が起用の理由だったと言う。

「特に悪役の人物造形では日本一だと思います。藤原竜也が演じた連続殺人犯は、原作通り大きな声で叫んだり、暴力を振るったり、いわゆるチンピラっぽいキャラクターになりますが、三池さんはこの役を文句ばかり言っている、自分の権利ばかりを主張している"クレーマー"と解釈。女の子を二人も殺しておいて、自分の権利ばかり主張し、自分が守ってもらっているのに文句ばかり言う。場合によっては『です、ます』で話す殺人犯にしたほうが面白い、と。確かに、映像を見ていると、いちいちイライラするキャラクターに仕上がりました」と評価する。

では、大作に引っ張りだこの彼らはどうやって監督になったのか。上位13人の経歴を見ると、「助監督を経て映画監督に」「テレビ・CM・ミュージックビデオから映画へ」「ぴあフィルムフェスティバルで脚光」「特殊効果担当から映画監督へ」の4つに分類できる。

「助監督」出身が三池崇史、橋本一、阪本順治、瀧本智行。黒澤明や大島渚、山田洋次など巨匠はみなこのパターンだ。映画会社に入社し、助監督として撮影スケジュールの調整を行ったり、現場の進行を取り仕切るなどの経験を積み、満を持して監督デビューを果たす。当時と現在の違いは映画会社には入社せず、フリーランスの助監督として撮影にのぞむこと。橋本監督は東映の社員監督なので、現在としては珍しい。

「テレビ・CM・ミュージックビデオ」出身が堤幸彦、錦織良成、三木孝浩、西谷弘。堤監督や西谷監督のように、ドラマの演出を並行して手がける人もいる(西谷はフジテレビの社員監督)。2本以下で、岩井俊二、中島哲也、犬童一心、本広克行羽住英一郎、そして「るろうに剣心」大友啓史、「桐島」吉田大八など、この分野出身監督の活躍が目立つ。

「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」出身が大谷健太郎佐藤信介。PFFは「映画の新しい才能の発見と育成」をテーマに1977年にスタートした映画祭。古くは森田芳光黒沢清、近年では矢口史靖や園子温がPFFを経て、人気監督へとステップアップしていった。

成島出中村義洋は「PFF+助監督」。成島監督は1986年に「みどり女」がPFF入選後、助監督として相米慎二監督、平山秀幸監督らに師事。中村監督は1993年に「五月雨厨房」が準グランプリを受賞後、崔洋一、平山秀幸、伊丹十三らの作品に助監督として参加した。

「特殊効果担当」出身が山崎貴。アニメーションやCGを手がける特撮スタジオ白組に入社し、伊丹十三監督作のデジタル合成などを担当。2000年に「ジュブナイル」で監督デビューを果たした。ランキング外では、「のぼうの城」を犬童一心と共同監督した樋口真嗣も同じ分野の出身。「ガメラ」シリーズの特技監督として脚光を浴び、2002年に「ミニモニ。THEムービー お菓子な大冒険!」で監督デビュー。2005年「ローレライ」を大ヒットさせ、人気監督の仲間入りを果たした。

彼らはまず、ミニシアター系など小規模の作品を何本か撮り、そこで注目されてから大作に抜てきされているケースが多い。その条件について、TBSの濱名氏は、こう語る。

「新しい才能に(大作を)託すのは冒険なので、題材がメジャーじゃないと抜てきしづらい。ヤクザもののVシネマやミニシアター作品『中国の鳥人』で注目されていた三池監督を『アンドロメディア』でメジャーに抜てきしましたが、これはスーパーアイドルだったSPEEDの映画だから。同じく『NANA』の大谷健太郎監督も、ベストセラーコミックの映画化だったから冒険ができました。

また才能だけでなく監督の器量というか人間的魅力も必要。たとえ、もめたりケンカをしたりしても、最後は一緒にやってよかったなと思える人じゃないと。そういう意味で、三池さん、堤さん、滝田洋二郎さん、また新しい顔ぶれとしては(2013年4月に「図書館戦争」が控える)佐藤信介も一緒に仕事をしたくなる魅力があります」

ミニシアターの注目監督は?

では、次世代の大作を担う人材の宝庫として注目されるミニシアター系からは、どんな才能が生まれているのか。

2012年は、沖田修一の「キツツキと雨」、西川美和の「夢売るふたり」、内田けんじの「鍵泥棒のメソッド」など、近年映画賞や映画祭で注目を集めた監督の新作が、前作より公開規模を拡大する形で、相次いで公開された。今年も沖田監督は「横道世之介」の公開が控え、「川の底からこんにちは」で注目された石井裕也は、「舟を編む」でメジャーデビューを果たす。ミニシアター作品からメジャーへとステップアップした李相日(リ・サンイル)は米アカデミー賞受賞作のリメイク「許されざる者」、深川栄洋は来年「神様のカルテ2」が控える。

このうち内田、石井、李、深川の4人は「PFF」出身。沖田は自主製作映画、テレビドラマの脚本・演出を経て、西川は是枝裕和監督作「ワンダフルライフ」でのスタッフを皮切りに、様々な作品の現場に参加を経て監督となった。

PFFが「自主製作映画から劇場映画への登竜門」だとすれば、「劇場映画からステップアップする登竜門」が新藤兼人賞だ。独立プロダクション56社によって組織される「日本映画製作者協会」に所属するプロデューサーが、「今後この監督に映画を作らせてみたい」という観点でその年度で最も優れた新人監督(劇場公開長編デビューから3作目以内)を選ぶ。

2012年度は139本の中から金賞に舞台で名を馳せる赤堀雅秋の「その夜の侍」、銀賞に写真家・蜷川実花監督「ヘルタースケルター」が選ばれた。過去には西川美和監督「蛇イチゴ」、内田けんじ監督「運命じゃない人」、中村義洋監督「アヒルと鴨のコインロッカー」、沖田修一監督「南極料理人」らが選ばれており、現在ミニシアター公開でヒットを飛ばす人気監督を輩出している。

(ライター 相良智弘)

[日経エンタテインメント!2013年3月号の記事を基に再構成]

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