次世代リーダーに求められるのは「共感力」
みなさんは"リーダー"と聞くと、どんなイメージがありますか? リーダーになりたがらない女性が多いと言われますが、リーダーシップの在り方はかなり変化しつつあり、将来的にもどんどん変化すると私は考えています。
一人のカリスマ型のリーダーが、圧倒的なリーダーシップを発揮するようなことは少なくなるでしょう。企業を取り巻く競争はより激しくスピードを求められますし、顧客のニーズは細分化・多様化しています。こうした事態にフレキシブルに対応するために、組織の垣根も下がり、様々な組織が協力して事業に取り組むような事例が増えていくはずです。
こうした時代に求められるリーダーシップは、"ホリゾンタルリーダーシップ"です。水平線のような横型の連携が重要となるリーダーシップの在り方です。この時、大切になるのは共感力やコミュニケーションスキルです。女性は共感型のコミュニケーションを得意とする人が多いですから、力を発揮できる場面も増えてくることでしょう。一方で、課題解決のためには論理的思考力も重要。女性リーダーとして活躍するためには、ぜひロジカルさも身に着けたいですね。
未来の働き方という意味でいうと、IT技術の進歩で人は時間軸や空間軸からどんどん解放されていくはずです。オフィス以外の場所で働くことや、インドにいる上司と一緒に働くなんていうことが珍しくなくなっていくことでしょう。
しかし、こうした働き方が楽かというと、そんなことはありません。定められた期間内で成果を出すために、自己で責任を持って業務を進める必要がある。空間軸、時間軸からは解放されるかもしれないけれど、成果に対しては厳しくなっていく。そんな時代がやってきます。
自分にしかできない仕事をするためには、"希少性"と"市場性"が必要です。ただ、あまり難しく考える必要はありません。掛け算の要素である"タグ"を増やしながら、確実に自分のやれることを明確にしていくことです。そうして「声のかかる自分」「求められる自分」になっていけばいいのです。
変化の激しい時代ですから、未来を見通すのは容易なことではありません。ガチガチに決め込んだキャリアプランは意味をなしません。なんといっても職業人生50年時代ですから。今の情報で「これ」と決めた方向性で50年にわたる職業人生を生き抜けるわけがありません。
フェイスブックの最高執行責任者であるシェリル・サンドバーグは、著書の中でキャリア構築の仕方を"ジャングルジム"に喩えました。登り方は一つとは限らない。その時、その時に目の前の仕事に全力を尽くすことで、未来のキャリアは開かれていくものです。
プロノバ代表取締役社長、グロービス経営大学院教授。経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年、グロービス・グループの経営人材紹介サービス会社であるグロービス・マネジメント・バンク事業立上げに参画、2005年より代表取締役。2007年、プロノバ設立、代表取締役就任。「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。
(ライター 田中美和)
[nikkei WOMAN Online 2014年7月23日付記事を基に再構成]
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