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「あなたのパートナーは男性ですか? 女性ですか?」

米国NPの診察日記 緒方さやか

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NIKKEI STYLE

 米国の医療機関などで働きながら、出産・育児を経験した著者が、仕事・出産・子育て・文化の違いなど、さまざまな切り口で、米国社会とそこで働く女性の現状を紹介。読めばリアルな米国が見えてきます。さて、今回取り上げるテーマは、同性カップルの結婚について。米国では大学でも、同性愛について議論する場が設けられているのだとか。

ニューヨーク州では2011年に、同性カップルの結婚を認める州法が州議会を通過した。

同性婚を認めるアメリカ合衆国で6つ目の州だ。ある友人は、1歳になる息子と合法化のニュースが見ながら、「これで、大きくなっても、愛し合った人と結婚できるんだよ」と息子に語りかけ、泣いてしまったそうだ。

米国の大学では、同性愛についての討論会が行われる

現在の職場に10人いるプライマリケア部門の医師とナースプラクティショナー(NP)のうち、3人(男性2人、女性1人)は長年の同性のパートナーがいて、パーティーや結婚式などに連れ添って来る。ニューヨークだけでなく、ボストンのタフツ大学に通学していた頃から、私にとってLGBT(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgenderの略)は比較的身近な存在だった。

学生寮の2人部屋に住んでいる時、隣の部屋に住んでいるAさんが、入学して数カ月経った頃に「自分は今ボーイフレンド、ガールフレンドはいないけれど、どちらもいたことがある」とにっこりと認めた。ところが同室のBさんが「バイセクシュアルの子と一緒に住みたくない」と部屋替えを申し立て、険悪な仲になり、Bさんの新しい部屋が決まるまでの数週間、代わる代わる私たちの部屋に逃げ込んできたこともあった。

また、タフツ大学では、新入生向けのディスカッションシリーズの一環で、LGBTクラブの主催による「様々な愛の形を考える」という討論会も開かれていた。一学年上の男子学生が、小さい頃自分が男性に恋をしたと気がついた時のことや、初めて好きな人と体の関係を持った時のことなどについてオープンに語ってくれたのだが、聞く方の新入生は皆落ち着かないようで、もじもじしていた。「生まれついて同性に惹かれる人もいる」ということを、私はこれらの体験を通して学んでいった。

「この半年で性交渉を持った人数は? 相手は男性?女性?両方?」は基本質問

NPの大学院では、もう一歩踏み込んで、性転換の手術を受けた人たちを招いてのディスカッションや性転換後のホルモン治療、LGBTの患者さんたちの心のケアなどについての授業もあった。ほかにも、婦人科の実習では、内診時にはかならずパートナーの性を聞くように教わった。年齢や見かけだけで決めつけないことがいかに重要か、何度も教え込まれたものだ。

Are you sexually active? How many partners in the last 6 months? Are they man, woman, or both? この3つの質問は基礎の基礎として叩き込まれたので、自動的に口から出るようになった。

思春期専門クリニックで実習をしていた時はそれで良かったのだが、NPとして働き始め、プライマリケアの現場でこの質問を口にするとなると、ただの健診で来院した50代の敬虔なカトリック(言うまでもなく、カトリックでは同性愛は認められていない)教徒の男性にまで「相手は女の人ですか、男の人ですか」と尋ねることになる。非常に気まずい沈黙を経験した私は、さすがに、人を見て質問を柔軟に変えるようになった。

何はともあれ、1969年にニューヨークのゲイバーで起こった暴動が現在の彼らの権利運動の始まりだと考えると、ニューヨーク州で同性婚が合法になったことは一つの象徴的な出来事といえるだろう。もちろん、結婚する権利があるからといって、皆が長年連れ添った相手と結婚するわけではない。選択肢があるかどうかの問題にすぎないのだ。

保守派からは抵抗も

ただ、アメリカの保守主義の人にとって、結婚は法的な問題でなく、宗教的な、人間の根源にかかわる問題だととらえられている。神聖なる一夫一婦制度が汚されたという人々は、今回の決定を例えて「ベジタリアンの人に肉食を強要するような暴挙」だと言っている。日本で言えば、土足で畳にあがるのを強要するようなもの(?)だろうか。しかし、肉食であろうが、同性愛であろうが、各家庭、各個人で決めればいいと、私は思う。性病なども治療する医療従事者としては、ベジタリアンのふりをしてこっそり肉を食べていることを隠す人が減る方が重要に思えるのだが、いかがだろうか?

さて、皆が結婚するわけではないとは書いたが、私の近くには同性で幸せな結婚をした人がいる。イェール大学院時代の同級生のCさんは卒業後、素敵な女性に出会い、既に同性婚が認められていたマサチューセッツ州で、2人ともウェディングドレスを着て普通に結婚式を挙げ、両方の家族に祝ってもらっていた。幸せが滴り落ちるような笑顔の写真を見ながら話を聞いていたところ、結婚式が彼女にとって、「愛を宣言する」とともに「(時には嫌な)責任や親戚付き合いもひっくるめて、相手を一生の覚悟で受け止める儀式」であり、どんなに重要だったのかを感じることができた。彼女のため、そして、自由主義が勝利した象徴的時事として、私は同性婚の州法成立を祝っている。

緒方さやか(おがた・さやか)
婦人科・成人科ナースプラクティショナー(NP)。2006年米イェール看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。「チーム医療維新」管理人。プライマリケアを担うナースプラクティショナーとして、現在、マンハッタンの外来クリニックで診療にあたる。米ニューヨーク在住。

[日経メディカルオンライン 2011年7月14日付記事を基に再構成]

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