働き方・学び方

定年世代 奮闘記

へっぴり腰の研究が科学書に、自分でも不思議 団塊オヤジのナメクジ探索

2012/12/1

小学校4年までは相撲取り、中学に入るまではプロ野球選手を目指していた。昆虫採集などには興味のなかった元スポーツ少年が、新聞社を退職後、ナメクジの本を出版した。どうしてそうなったのか、自分でも不思議でならない。

文献提供などでお世話になった千葉県立中央博物館の黒住耐二さん(右)に出版の報告をする筆者(千葉市中央区)

■冗談のつもり…が撤退できなくなった

日本経済新聞社で41年間の記者生活にピリオドを打ったのは2011年10月末。そのちょうど1年後に、退職1冊目として「ナメクジの言い分」(岩波科学ライブラリー)を著した。ナメクジの視点、つまりナメクジ史観であれこれ考え、彼らの生息分布図や体の構造、生態、歴史、最新の研究、彼らが登場する文学史などを紹介した科学エッセーだ。

冗談のつもりで、書斎で飼育したり、文献を調べたりしているうちに、謎だらけの彼らの闇の世界に迷い込み、撤退できなくなってしまった。腰の引けた研究の成果をまとめたのがこの本なのである。

■きっかけは居間で起きた“銀の筋事件”

大変役に立った外国の文献など

きっかけはその昔、我が家で起きたささいな事件だった。時は1998年の梅雨時。大学生だった娘2人が自宅2階の居間で手足の爪にマニキュアを塗っていた。私はマニキュアが嫌いだ。といって20歳を過ぎた娘たちに「やめろ」と言うだけのパワーも持ち合わせていない。冷ややかな視線を送りながら布団に入る父親の姿を想像していただきたい。

翌朝。居間のカーペットに銀色の筋がこびりついているではないか。このときとばかり、娘たちに注意した。「こんなところにマニキュアがくっついてるぞ」。が、しかし、である。妻を含めた女性たちの反撃はすさまじかった。ベランダから続く筋を示しながら「これはナメクジよ」と断言するのだった。

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