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新しいジャズの楽しみ方を提案する「Something Jazzy 女子のための新しいジャズガイド」の著者、島田奈央子さんによるジャズガイド。最近の話題やおすすめのアルバムを紹介します。

■ジャズの世界殿堂入り、「日本人で初」は女性だった

4月に大阪城で開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「インターナショナル・ジャズデイ」に参加した秋吉敏子さん 提供:Thelonious Monk Institute ofJazz

「ジャズって、聴く人も演奏する人も男性が多いですよね」とよく言われます。確かにジャズの巨匠と呼ばれる人は男性が多いし、世界的にみてもミュージシャンの数は男性が圧倒的。特にインストゥルメンタルは、女性が本当に少ないといわれています。

以前、話をうかがった女性ピアニストの方は、他の演奏者すべてが男性という環境で「自分のアイデアを発言しても、なかなか聞いてもらえなかったり、男性と同じように演奏しようとして力んでしまったりすることがある」と話されていました。男性が多数派というビジネスの世界で働いている女性にとっても、共感できるところかもしれませんね。

ただ、そんな彼女には希望を与えてくれる存在がいたそうです。「一緒に演奏する人の性別も国籍も、有名な人であろうと関係ない。枠にとらわれずに自分らしい演奏を貫き、むしろ『私についてきて』という強い姿勢で取り組んでいる」と彼女が話すのは、同じピアニストの秋吉敏子さん。84歳になった現在も米国を拠点に活躍されています。秋吉さんの演奏が彼女の意気込みをも変えたそうですから、ロールモデルとなる大先輩の存在は大きいですね。

秋吉さんは1956年に渡米。早くから才能を認められ、日本人ミュージシャンが米国で活躍する基盤をつくりました。99年には「国際ジャズ名誉の殿堂」入りを果たし、2006年には米ジャズ界最高の栄誉とされる「ジャズマスターズ賞」を受賞。いずれも日本人として初めての快挙でした。“男社会”のジャズ界で「日本人初」が女性だったのです。サックス奏者で夫のルー・タバキンさんとビッグバンドを結成したり、和楽器と融合させた独特な音楽を奏でたり、常に挑戦する姿勢が高い評価につながっています。

■自由に、素直な感覚で楽しもう

秋吉さんは以前、「日本でジャズを始めたころはレコードを聴いて曲のコピーばかりしていた。渡米して自分特有の表現が必要だと分かった」とコメントされていました。私も新しい音楽に向かって殻を打ち破ろうと挑戦する精神が感じられたり、演奏が自由に展開されたりすると、「これはジャズなんだ」と思い、聴いています。私がお薦めする音楽は、いわゆる「ジャズ」という領域から外れ、ときにポップスやロック、ワールドミュージックの枠に入る曲もあるかもしれません。コラムのタイトルにもある「Jazzy(ジャズっぽい)」という呼び方は、知識にとらわれず、素直な感覚でジャズを楽しもうというメッセージでもあります。

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