アニメパワーを活用する大手企業2012年のアニメ界を振り返る(2)日経エンタテインメント!

だが、実際の海外売り上げを見てみると、2005年には313億円だったアニメ業界海外推計市場は、2009年には153億円まで半減。2011年は177億円まで回復したが、2008年以降の円高も影響もあって、依然停滞気味だ(日本動画協会調べ)。バンダイビジュアルの川城和実社長も「アメリカはコスプレ中心、ヨーロッパは日本の感覚に近いが、それでもアニメが支持されている理由が決定的に違う」と、海外ではアニメがビジネスとして成立しづらいことを認めている。

経産省では、2007年より「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」(通称、コ・フェスタ)を主催、海外のバイヤーにアニメを紹介してきたが、今年からは、お台場に場所を移し、アニメだけではなく、音楽、映画、放送など、様々なエンターテインメントコンテンツを1カ所に集めて、国内外に幅広くアピールしていく考えだ。

もう1つの課題とされるのが、「人材育成」だ。動画協会に登録があるだけで60社、個人ベースも含め、アニメの制作会社は数百にも及ぶといわれ、そのほとんどが零細企業。制作費カットのため原画と原画をつなぐ動画部分を韓国や中国へ下請けに出す流れもあり、経験を積めないケースも少なくないといわれている。

そこで文化庁では2010年から、若手アニメーターの育成プロジェクト「アニメミライ」を推進。国内のアニメ制作会社から若手育成を条件にオリジナルの企画を公募。選ばれた会社は3800万円を無償提供され、約30分の短編アニメを制作する。完成した作品は、シネコンやテレビ各局で上映・放送。2013年には「ストライクウイッチーズ」などを制作したゴンゾ(GONZO)、2011年に設立されたトリガー、「好きっていいなよ。」が放送中のZEXCS、そして劇場版「HUNTER×HUNTER」が公開中(2013年1月12日から)の老舗マッドハウスの参加が決定している。

V字回復した希有な産業

図1

アニメの年間放送タイトルは、2006年の年間279本(うち新作195本)という空前のピークを記録して以降、右肩下がりに転じた。しかし、2010年に200本(うち新作139本)と底を打つと、2011年には220本(うち新作164本)とV字回復をみせている(図1参照)。増田氏は「一度下方に転じた産業が、これほどの短期間で復活した例は、日本においてはこれまでなかった。それだけ、アニメというコンテンツがしっかり根付いた証拠」と考える。

「一時期、“アニメはもうかる”と考えたファンドなどの出資・参入によって作品数が大幅に増加。クオリティーにバラツキが出始め、1作当たりの売れ行きが低下してしまいました。その影響で制作数が減り、売り上げも下がってしまった。作品数のピークは2006年で、当時はただのブームでしたが、この回復はその後いい作品を作り続けて認められた結果だと思います」(増田氏)

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