アニメパワーを活用する大手企業2012年のアニメ界を振り返る(2)日経エンタテインメント!

購買促進力でいえば、「けいおん!」関連キャンペーンで10億円を売り上げたローソンしかり。2012年5月に公開された劇場版「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's」は、公開初週の土日興収が約1.6億円。それに対して、劇場でのグッズ売り上げは最初の3日間で約2.3億円にも上った。興収よりグッズ売り上げのほうが多く、アニメの劇場公開が、映画を上映するだけではなく、様々な企業に恩恵をもたらしている。

アニメファンは「他のエンターテインメントと比較して、景気に左右されずに(商品の購入に)積極的な方が多いように思う」(毎日放送の丸山博雄プロデューサー)と言う。「ものが売れない時代に、パッケージのトータル売り上げがここ4年横ばいをキープしている」(日本動画協会でアニメ産業の研究、マーケティングなどを行う増田弘道氏)のもその表れといえるだろう。

売り上げなど直接的ではないが、「イメージ戦略」に果たす役割も大きい。2011年5月、米トヨタが初音ミクをカローラのCMに起用するや、そのニュースはネットを駆け巡った。「PES(Peace Eco Smile)」の制作も「あのトヨタがアニメ!?」と驚きを持って迎えられ、取材のオファーが数多く寄せられているという。NTTドコモも低価格でアニメを配信することで、「ツイッターでご意見をいただくことが圧倒的に増えた」(コンテンツ開拓担当部長の田中伸明氏)など、新しいユーザーの獲得に手応えを感じているのだとか。

大前提として熱心なファンがいること、あらゆる業種に合わせて多角的に展開していける許容の広さ、さらに、異業種タッグなどニュース価値も高めてくれる。人を集め、好かれる力があり、“まだ何かできる”可能性を秘めている。新規ビジネスへの模索は、アニメ作品が魅力あるコンテンツである限り、続いていくはずだ。

課題は「海外」と「人材育成」

こうしたアニメの長所──アニメを介することで経済を活性化させ、国内産業の大きな武器になりうる点を、国は「成長戦略の一つ」と捉え、その支援を模索している。国内向けには人材育成や地方産業のバックアップを、海外に向けては「海賊版や無断アップロードの対策に乗り出すと共に、アニメコンテンツを海外で展開するためのスキーム作りを進めたい」(経済産業省メディア・コンテンツ課仲舎菜子課長補佐)とする。

残念ながら日本のアニメは、その認知度の高さに対して、海外におけるビジネス展開はうまくいっているとは言い難い。

例えば、2012年に開催されたフランスの「JAPAN EXPO」では20万人超を動員したほか、アメリカで10万人以上を動員する「Anime Expo」などを見ても、その認知度や人気はより高まっているように見える。

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