合格率5% 最年少記録誕生が話題の気象予報士の試験と仕事気象予報士 伊藤みゆき

例えば、道路の除雪体制へのアドバイス。どの場所でどれくらいの雪が降るかを知ることで、除雪の人員配置をしなくてはいけない地方などでは必須の仕事です。このような場合、広い範囲の予報ではなく、その道路周辺の天気だけがハッキリ知りたいのです。先日の1月14日の大雪のように、一般向けには雨の確率が高いと予報されていても「このあたりは雪だろう」というアドバイスがあれば予め備えられたかもしれません。逆に、雪に備えて人員を確保していたのに、結局雨のままだったとなれば、その時間や人員が無駄になってしまう…というシビアなピンポイント予報です。

非常に難しい試験で、かつ、その資格を生かした仕事が少ないとなれば、なかなかモチベーションにもつながらないかもしれません。私も今は様々なご縁でメディアの仕事に携われていますが、先々の保障があるものではありません。

ただ、そうはいっても私自身はやっぱりこの資格をとってよかったなあと思います。

気象予報士は、「日々の空模様」から「災害から身を守ること」にも結びついています。「夕焼けだから明日は晴れ」と誰もがなんとなく予報できますが、その仕組みを知った上で日々の生活をすると、天気を予測する力がついてきます。気象予報士の仕事をして感じることは「歳を重ねるにつれて、資格自体の強みが増していく」ことです。比較できる天気や季節が増えていくことで、説得力が増し、予測に幅や深みが出てきます。

資格は一生モノ。しかも、それが天気となれば日々の生活に関わることです。いつでもどこでも予測し必ず答えが出る「天気予報」はライフワークとしては損の無い資格といえます。また、災害から生命や財産を守るという重大な役目も担っている資格です。

記憶に新しい東日本大震災は、多くの人に自然災害の恐ろしさを知らしめました。例えば、今回のことをきっかけに、自然災害への対策を啓発する役割や仕事などが、気象予報士の仕事として増えていくといいなあと思っています。

気象予報士試験は合格がゴールではなく、新たな勉強へのスタート地点。その先に人それぞれのゴールが待っていると思って私も日々模索しています。

伊藤みゆき
気象予報士。証券会社社員を経て、気象予報士に。日本テレビ衛星「NNN24」の初代気象キャスターに合格。現在はNHKラジオ第一「ラジオあさいちばん」気象キャスター。 光文社の雑誌『STORY』などで連載を持つなど、幅広く活動中。

[nikkei WOMAN Online 2013年1月17日掲載]

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