“アニメ好き”が消費を動かす2012年のアニメ界を振り返る(1)日経エンタテインメント!

【企業とのコラボレーションのケース(2) トヨタ自動車】

最初から世界的キャンペーンを視野 アニメだから伝えやすいメッセージ

(C)BEYOND C.

販売台数世界一(2012年上期)。日本を代表するメーカー“トヨタ”がアニメプロジェクトを始動する──。

2012年3月「東京国際アニメフェア」で発表されたこのニュースは、少なからず世間を驚かせたはずだ。タッグを組んだ相手は、映画「ベルセルク 黄金時代篇」3部作のアニメ制作を担当したSTUDIO4℃。両社が対等にアイデアを出し合い完成させたのが、オリジナルアニメ「PES:Peace Eco Smile」だ。

東京の吉祥寺を舞台に、宇宙から地球に舞い降りた PESと不思議生命体のNaSuBiが、人を愛することの大切さや小さな幸せの大事さを体験していくという物語。企画を立ち上げる際、グローバルマーケティング局の南井孝夫グループ長は、2つのことを考えたという。

「先進国の若者の車に対する考え方が変わり、車は見向きもされなくなっている。そこで、車が本来持っているエンターテインメント性を、車のハード面からでなく、別の形で伝えたかった。また、トヨタの考える“安全”は愛や温かみであることを伝えたいと考えたとき、アニメというメディアが一番適していると思った」

公式サイトや「YouTube」で発信された7話のショートムービーは、トータル28万ビュー(2012年10月時点)で、世界各地からの好意的な書き込みも多いという。さらに、NaSuBiの着ぐるみほか「PES」チームは、米ロサンゼルス「Anime Expo」をはじめ、京都や吉祥寺など国内外のアニメイベントに登場した。ネットにとどまらず、リアルでも大いに話題を振りまいている。

「最初からグローバルでのキャンペーンが目的。トヨタのブランド全体のプロモーションを世界に向けてアニメで行っています」(同部署の稲川博氏)

2012年11月にはアジア初進出で、アニメフェス「AFA(Anime Festival Asia)」に出展した。ゆっくりだが確実な浸透を見せるトヨタ×4℃の「PES」。2013年には第2弾の制作も計画されている。

(次回は1月14日掲載)

(日経エンタテインメント! 平島綾子、ライター 山内涼子)

[日経エンタテインメント! 2012年12月号の記事を基に再構成]

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