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“アニメ好き”が消費を動かす 2012年のアニメ界を振り返る(1) 日経エンタテインメント!

2013/1/7

2012年のアニメ映画業界は多くのヒットに恵まれた。もともと深夜のテレビアニメだった「魔法少女まどか☆マギカ」や「けいおん!」がヒットしたほか、日本で最大のファンコミュニティを持つ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」はアニメ映画として最大級の興収となる見込みだ。こうした勢いに乗り、様々な企業がアニメの活用に力を入れた。今回と次回の2回に分けて、2012年のアニメ業界のトピックを紹介する。
映画「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」の公開にあわせて、スポーツ紙が丸ごと「魔法少女まどか☆マギカ」に。コラボレーションの成果。 (C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka Movie Project
劇場版も大ヒットになった「けいおん!」。 (C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部

2012年、日本は幕開けからアニメが元気だった。2011年末に公開された「映画 けいおん!」は、深夜放送発のアニメが元になっているのにもかかわらず、興行収入20億円に迫る大ヒットを記録。さらに、2012年初めの「第88回箱根駅伝」で未曽有の活躍を見せた“山の神”柏原竜二選手の記事には、「アニメ好き」の文字が躍った。世界のトヨタがアニメ制作に乗り出し、先行きが不安視されるテレビ局や音楽業界好転の影にもアニメがあった──。

これら「アニメパワー現象」は、いくつかのポイントに整理できる。まず、「作品自体のヒット」だ。前出の「けいおん!」に続き、「TIGER & BUNNY」「魔法少女まどか☆マギカ」など、人気作の劇場版が続々と公開されて好成績を収めた。

これらの作品に共通するのは、多くの一般企業を巻き込んでの大規模キャンペーンやコラボが行われたこと。「『エヴァンゲリオン』以来」ともいえる“社会現象アニメ”の相次ぐ登場に、世間は大いに沸いた。

細田守監督作「おおかみこどもの雨と雪」が興行収入40億円超の大ヒット。国民的なアニメ監督であるスタジオジブリの宮崎駿の“後継者”に名乗りをあげた。 (C) 2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
映画「おおかみこどもの雨と雪」のワールドプレミアが2012年6月、パリで行われ、主人公の声を演じた宮崎あおいと、細田守監督が出席した(写真は街角でサインをする細田守監督)。欧米・アジアの約45カ国・地域で配給された。

夏休みに親子で見に行くような“王道系”にも新しい息吹があった。細田守監督作品「おおかみこどもの雨と雪」は、2011年のアニメ興行収入ナンバーワン「コクリコ坂から」に迫る41億円(2012年10月時点)の大ヒットを記録。“ネクストジブリ”が待望視されるなか、“ポスト宮崎駿”の登場に、注目が集まっている。

二つ目のポイントは、「“アニメ好き”を公言する有名人」の急増だ。声優・花澤香菜のファンを公言する前出の柏原竜二選手をはじめ、プロゴルファーの大江香織選手、さらには人気モデルの平子理沙や山本美月まで、アニメとは縁遠そうだったスポーツ選手やファッションモデルたちが、アニメを語り出した。

芦田愛菜、鈴木福ら人気子役から、小栗旬、AKB48まで、こぞってアニメ声優にチャレンジ。“タレント総声優化”ともいえる状況に。写真はAKB48の渡辺麻友。映画「ねらわれた学園」で主演声優をつとめた。  (C)眉村卓・講談社/ねらわれた学園製作委員会

劇場アニメでは、芦田愛菜や鈴木福ら旬の子役や俳優たちが声優を務めることが通例化し、AKB48のように自らをモチーフとしたアニメ「AKB0048」を制作、声優までこなすケースも。これらの動きは、「アニメを見ることの垣根が下がってきている」(「まどか☆マギカ」のアニプレックス岩上敦宏プロデューサー)、その表れなのだろう。

■世界のトヨタがアニメ制作

こうした“アニメの一般化”の流れを受けて、「企業や地方自治体などの多用」も多く見られた。大手企業のアニメ活用も一段進んだ感がある。2001年、「千と千尋の神隠し」でいち早くアニメのキャンペーンに着手したローソンのほか、世界ナンバーワンの生産台数を誇るトヨタ自動車が、戦略的プロモーションの一環としてアニメ「PES(Peace Eco Smile)」を制作。国内シェア第1位のNTTドコモも、アニメ事業に着手。新サービス「アニメストア」を立ち上げた。食品メーカーでは、明治が「メグミとタイヨウ2」の商品CMに本格的なアニメを採用。制作は「サマーウォーズ」のマッドハウス。水樹奈々、杉田智和(「銀魂」)ら人気声優を起用しアニメファンの話題をさらった。

 

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