これでわかった ローン金利の計算法桜美林大学教授 芳沢光雄

預貯金などの場合はこのように簡単に計算できるが、株式や不動産など配当や賃貸収入など毎月、収入がある資産の場合、計算はやや複雑になる。こうしたケースについて考えてみよう。

最初に自己資金で資産を購入し、n年間運用するとする。モデル化にあたって考えなくてはならないのは、n年後の売却額(株価・不動産価格)、毎年の利率、各年の配当(不動産収入)だろう。なお不動産収入とは、家賃や駐車場代などのことである。

この資産をn年目に売却したとき、総額いくらになるか計算してみよう。各年に得られる収入(配当や不動産収入)は一定金利で運用するとする。それは次のような式になる。


一方、最初の資金をそのまま一定利率で運用すると


になる。

市場金利と同程度に運用できていれば、この2つは同じ額になると考えられる。すなわち下の式が成り立つ。


両辺を(1+利率)のn乗で割って、左辺の「最初の資金」をaと置くと、下のような式になる。


これを配当割当モデルといい、現在の株価や不動産価格を評価している。将来的に得られる収入や売却金額から、「現在価値」を計算したものである。先の10万円の例のように、実際に使った「最初の資金(価格)」が右辺の計算結果(現在価値)より下回っていれば、買う値打ちがあるといえるし、逆に上回っていれば、株や土地を買わず、普通に運用した方がよいということになる。

具体的な数字を使って考えてみよう。

いま、利率が5%で、毎年の収入が一定だと仮定する。すると以下のような式になる。


カッコの中は等比数列になっている。そこで、等比数列の和の公式を使うと、


毎年の収入が100万円、5年後に5000万円で売却することを想定する。


なので、

a={21×100万×0.2155+5000万}÷1.2763

≒4272万1539(円)

となる。

すなわち、5年後に5000万円で売却することを考えた場合、現在価値は約4272万円である。

この考え方は、実際に株や不動産を購入するときの目安として利用できる。高校で学ぶ等比数列は金融の現場では日常的に使われている知識ともいえる。

芳沢光雄(よしざわ・みつお) 1953年、東京生まれ。東京理科大学教授を経て現在、桜美林大学リベラルアーツ学群教授。理学博士。数学教育に力を注ぐ。主な著書に「数学的思考法」「ぼくも算数が苦手だった」「新体系・高校数学の教科書」「新体系・中学数学の教科書」。59歳。
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