梅雨時期の予報が外れやすい理由気象予報士 伊藤みゆき

今年も6月8日から9日にかけて九州北部から東北南部までが梅雨入りしました。梅雨は40日前後に及ぶ雨の季節。四季と並んで「第5の季節」と捉えられることもあります。

夏の前、南の太平洋高気圧が勢力を強めて北の方にせり上がってくるときに、まだ北の方に留まっているオホーツク海や日本海に中心を持つ高気圧との間で縄張り争いが起こります。この縄張りの境界線が梅雨前線と呼ばれるもの。北海道には、この梅雨前線が北上してこないことから梅雨が無いとされています(昨今ではそうでもなく、たまに北上しては大雨をもたらすこともあるのですが…)。南の太平洋高気圧が圧勝すれば梅雨が明けて夏になりますが、お互いそう簡単には譲りません。その間に激しい争いがおきたり、一時休戦状態になったり…ということが雨の強弱につながります。

「梅雨」を定義するには3つの要素がそろうのが基本。「南の高気圧」「北のオホーツク海高気圧」「その間の前線」です。それらが天気図上に登場して、しばらく曇りや雨が続く…という時に「梅雨入り」となります。

梅雨入り(明け)を発表するのは気象台です。一般的に「梅雨入り宣言」と呼ぶことがあるこの発表ですが、実は結構曖昧なのです。梅雨入り・梅雨明けは「5日間程度の移り変わりの期間」があり、「その中日あたりを梅雨入り(梅雨明け)」と発表するため、そもそも「この日から梅雨です!」とはっきり宣言するものではないのです。この微妙なニュアンスを解説するのが、気象予報士にとって難しいところです。

梅雨は入りや明けの発表がはっきりしないだけではなく、期間中、天気予報の的中率が低くなります。この第5の季節は、気象予報士泣かせの季節でもあります。皆さんも「梅雨入りしたって聞いたけど、雨が降らないなあ」と思うようなときがあるのではないでしょうか。秋や春に来る低気圧によって雨が降る時は、梅雨時期によくある「予報がコロコロ変わる」とか「大ハズレ」があまりありません。これは、春や秋の低気圧と梅雨前線では、規模や動き方が大きく異なるためです。

「線」の梅雨前線と「面」の低気圧

春や秋の低気圧の規模は1000キロ単位で、雨雲は本州の広い範囲を覆います。さらに雨雲は西から東へ順に動くため、雨の量や降る時間帯が外れることがあっても、「雨がかすりもしなかった」ということはほとんどありません。

2010年5月19日の低気圧の雲。日本列島が見えないくらい雲が厚い(気象庁ホームページより)