休刊の危機を乗り越え部数を10倍増に、『美人百花』大躍進の軌跡日経エンタテインメント!

出版不況の中で苦戦を強いられる雑誌が多い中、角川春樹事務所の女性誌『美人百花』は、着実にファン読者を獲得しています。当初は休刊の危機に見舞われましたが、今では5年前の10倍の実売部数を獲得し、月刊化も実現しました。『美人百花』の人気の理由と大躍進の道のりを、日経エンタテインメント!誌が紹介します。
表紙に「コンサバより若くて華やか、ギャルよりかわいくてリッチ」のコピーを掲げる「美人百花」。熱いファンが多いのが、この雑誌の強さ。部数を伸ばし、ファン待望の月刊化を成し遂げた2011年4月号(写真)は祝福ムード一色

2011年4月号で念願の月刊化を果たした『美人百花』。もともと月刊誌として2005年に創刊したが部数が伸び悩み、隔月刊への退却を余儀なくされていた。以来5年余、再び月刊に返り咲くまでには、どんな経緯をたどったのだろうか。

『美人百花』の和田知佐子編集長。角川春樹事務所取締役執行役員。『ポップティーン』編集長を経て2005年より現職

創刊当時から編集長を務める和田知佐子氏は、「読者はがきを熟読するなど、地道な努力を続けただけです」と言う。当初、会社からは自身が成功させた10代ターゲットのギャル誌『ポップティーン』のお姉さん誌を期待されていた。だが「25歳を過ぎてギャルっていうのも“痛い”気がして」(和田氏・以下同)、20代後半の働く女性を集めて何度も座談会を開いた。見えてきたのは「コンサバでもギャルでもない」路線。結果的にはそのコンセプトがヒットにつながった訳だが、創刊当時それをどう誌面に落とし込めばいいか分からない時期が続いた。

4号目で実売1万2000部まで落ち込み、会社から「休刊」を言い渡される。「まだ鉱脈を掘り当てていないのに、このままでは終われないと頼み込んで隔月刊にしてもらった」。同系統の先行誌はないので、とにかくターゲット層と向き合うしかない。読者はがきを読み続けるうちに、「女性は年齢と年収が必ずしも比例しない」という実態が見えてきた。それまで扱ってきたハイブランドからリアルプライスの服へ方向転換。徐々に手応えが見え出した。

ガーリー路線を決定づけた2007年3月号(上)。ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』がヒントに。誌面では掃除や洗濯、炊事などで、モデルが使っているグッズや実践しているアイデアを紹介することも(下の画像は2010年7月号)
美人百花の部数の推移  「ティーンの読者と違って、アラサー世代は愛読誌をなかなか変えないので、新規参入は本当に苦労しました」と和田編集長。辛抱強くガーリー路線を貫き、着実に部数を伸ばしていった。

最大の転機は、2007年3月号。読者モニターの反応を精査するうち、ワンピースや柄モノの服の人気が高いことが分かってきた。そこで思い切って1冊丸ごと「少女らしさ」を打ち出したガーリー路線に。「ちょうど映画『マリー・アントワネット』が公開されたので、これだ! と思って舵(かじ)を切りました」。結果、初めての完売。以降、右肩上がりに部数を伸ばした。

年上モデルが読者の指針に

『美人百花』の人気を支え、特徴づけているのは、美香、平子理沙ら「A-30」(30歳前後)以上のベテラン・モデルたちだ。身体のメンテナンスや生活面での向上を怠らず、いくつになってもかわいい彼女たちは、読者の“お手本”となる存在。「モデルさんに対しても細かいアンケートを実施し、実生活で愛用している美容器具や注目しているブランドの情報を読者に還元しています」。そこから生まれたヒット企画が“ハデ家事”特集だ。既婚のモデルも多いので、愛用の柔軟剤やエプロンを紹介したら大好評だったという。 

今や女子大生から40代まで、未婚・既婚の壁を超えて「雑誌の世界観が好き」という女子が急増中。実売は12万部を突破、月刊化でさらに愛される雑誌を目指す。

(ライター 金井真紀)

[日経エンタテインメント!2011年6月号の記事を基に再構成]

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