検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

どこまでが「関東」? 静岡や福島が入るケースも

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

テレビを見ていたら、高校野球のニュースをやっていた。「山梨学院大付属が関東大会で初優勝」――。何となく聞いていたが、よく考えると不思議だ。学校では「山梨県は中部地方」と習ったはず。なぜ山梨県の高校が関東大会に出ているのか。そもそも「関東」とはどこを指すのか。調べてみた。

教科書は「1都6県」、揺れる辞書の記述

まずは辞書を見てみよう。「関東地方」でひくと、広辞苑(第6版)では「行政的に東京都と神奈川・埼玉・群馬・栃木・茨城・千葉の6県」となっていた。これに対し学研の「国語大辞典 第2版」では「山梨県を含むことがある」と書いてある。辞書の記述も揺れている。

教科書はどうか。

「関東地方は1都6県としています」。文部科学省に確認したところ、教科書上の関東地方は「東京都・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県」を指す。山梨県は中部地方だ。

ちなみに中部地方は「新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県」となっている。


スポーツの関東大会は「1都6県+山梨県」が大半

一方、スポーツの世界では関東に山梨県を含めることが多い。よく知られているのが東京箱根間往復大学駅伝競走、いわゆる箱根駅伝だ。関東学生陸上競技連盟が主催しているが、山梨県の大学も参加している。

なぜ、山梨県が関東に入るのか。同連盟に尋ねたところ「日本陸上競技連盟の規約に準じていますが、理由は分かりません」とのこと。ならばと陸連にも聞いてみたが、はっきりしなかった。

陸上だけではない。高校野球も同じだ。関東大会には山梨県の学校も参加する。日本高等学校野球連盟に聞いたが、こちらも「昔からそうだった」とだけ。高校ラグビーも同様だった。


スポーツ界で異色のアメフト 「1都6県+山梨県+新潟県」

「関東=1都6県+山梨県」が多いスポーツ界で、異色なのがアメフト。関東学生アメリカンフットボール連盟には1都6県に山梨県、新潟県の大学が参加している。連盟の担当者によると当初は「1都6県+山梨県」だったが、新潟県の大学もあとから加わったという。

「アクセスの問題ですね。新潟を北陸に含めると、競技場のある金沢や福井まで300キロメートル以上移動しなくてはいけなくなる。東北も遠い。東京方面なら移動が楽なので、新潟サイドから関東に入れてほしいと打診があったのです」


広域化の裏に「政治的な力」も

ではなぜ教科書では1都6県とされてきた関東に山梨県が加わるのか。思い当たるのは首都圏の定義だ。1956年制定の首都圏整備法は、首都圏の範囲を「1都6県+山梨県」と定めている。その理由を国土交通省に聞いてみた。

「制定当時の国会答弁を見ると、当初は東京都心部から50キロ圏を首都圏と考えていたようです。ただ整備法は過密気味だった首都圏機能を分散する狙いがあったため、もっと広域にすべきだとの声が優勢となり、100キロ圏まで広がりました。山梨県だけではなく、栃木県や茨城県など周辺県からも広域化を求める声があったようです。70キロ圏、80キロ圏との意見がある中で100キロになった背景には、政治的な力も働いたみたいですね」

「山梨県=関東」という図式は選挙区にも当てはまる。衆院選の比例代表南関東ブロックは「千葉県・神奈川県・山梨県」だ。歴史的に見ると、山梨県は江戸時代、幕府の直轄領だった。東京との結びつきはそのころからの名残なのかもしれない。

旧運輸省系と旧建設省系で異なる管轄エリア

官公庁はどうか。調べてみると、国の出先機関が管轄する「関東」は、実にさまざまであることがわかった。

順に見ていこう。高校野球や首都圏整備法などと同じ「1都6県+山梨県」は、国交省関東運輸局や総務省関東総合通信局が該当する。国交省関東運輸局に聞くと、始めから山梨県が加わっていたわけではないという。どういうことか。

「1948年に旧運輸省の出先機関を全国9カ所に設けた際、山梨県は中部の管轄でした。49年に運輸省設置法が施行された段階で、東京陸運局の管轄に変更されました」

理由は分からないという。ただほぼ同時期、鉄道管理局でも同じようなことがあった。名古屋ブロックが管轄していた山梨県が、50年になって東京ブロックに移管されたのだ。この間いったい何があったのか。「道路も鉄道も東京を向いているからではないか」(関東運輸局)との推測はあったが、現時点ではっきりとは分からなかった。

同じ国交省でも、旧建設省に属する関東地方整備局は「1都6県+山梨県+長野県」を管轄地域にしている。いわゆる関東甲信だ。こちらは「山梨は富士川水系の関係で関東に含めた方が管理しやすい。長野は道路整備上の関係」との説明だった。

静岡も関東? 経産省・環境省・農水省など

静岡県まで含むケースもある。経済産業省だ。関東経済産業局は「1都6県+山梨県+長野県+新潟県+静岡県」が管轄エリア。「関東甲信越」ならテレビなどでよく耳にするのでなじみがあるが、静岡県がなぜ入るのか。静岡県も関東なのか。

「東京通商産業局と呼んでいた戦後間もない時代から、このエリアでやっています。理由は定かではありませんが、電力の関係があるのかと思われます」。担当者によると、静岡県の一部が東京電力管内に含まれていることなどが影響した可能性があるとのことだった。

静岡県が入って新潟県が抜ける変則的な「関東」もあった。関東地方知事会と農林水産省関東農政局だ。両者とも「1都6県+山梨県+長野県+静岡県」となっている。

かと思えば「1都6県+山梨県+新潟県+静岡県」もある。環境省関東地方環境事務所だ。「管理する国立公園のエリアに合わせている」という。県をまたぐ国立公園もあるため、長野県と福島県の一部も管轄に含めている。

林野庁は1都10県 福島が入って長野が外れる

だんだん地理パズルのようになってきた。林野庁関東森林管理局は福島県も「関東」に含めている。「1都6県+山梨県+新潟県+静岡県+福島県」が管轄エリアだ。同局の担当者によると、ここに落ち着くまでは長い歴史があった。

営林局と呼ばれていた戦前、全国には出先機関が6カ所にあった。このうち東京営林局は1都11県をカバーしていた。1都6県に山梨、長野、新潟、静岡、福島の各県を加えたエリアだ。

戦時中、東京にあった営林局を地方に疎開させることになった。候補となったのは福島県、群馬県、栃木県。このうち、群馬県の前橋市に白羽の矢が立った。

戦後になり、林野行政は一新された。出先機関も再編され、東京営林局は前橋、東京、長野に3分割された。長らくこの体制だったが、98年に営林局を再び整理することになり、前橋と東京を統合。現在の1都10県になった。

再編に当たっては、前橋と東京どちらを存続させるかで激しい綱引きがあったという。静岡県などは「前橋は遠すぎる」と東京への統合を主張。北関東では「水源林がある前橋こそふさわしい」と訴えた。結局、首都機能の分散という観点で裁定が下り、前橋市に関東森林管理局が誕生した。福島県が関東に入っているのは、前橋営林局の管轄だった名残だ。

ちなみに「関東」と冠してはいないが、もっと広域をカバーしている省庁がある。気象庁だ。東京管区気象台は「1都6県+新潟県+富山県+石川県+福井県+長野県+山梨県+静岡県+岐阜県+愛知県+三重県」をカバーしている。

東京高等裁判所や東京高等検察庁、陸上自衛隊東部方面隊などは「1都6県+山梨県+長野県+新潟県+静岡県」が管轄だ。海上保安庁第3管区海上保安本部は「1都6県+山梨県+静岡県」を受け持つ。

かつては濃尾平野も関東だった

ややこしくて頭が混乱してきた。そもそも「関東」とはどういう意味なのか。地図研究家の今尾恵介さんに聞いた。

「関東の『関』は関所の関です。もともとは岐阜県の不破関、三重県とされる鈴鹿関、福井県といわれている愛発(あらち)関より東側が関東だったので、岐阜県から愛知県にかけて広がる濃尾平野あたりも関東でした。江戸時代になると箱根関、碓氷関(群馬県)あたりから東というふうに解釈が変わっていったようです」

地名には歴史がにじむ。どこまでを関東ととらえるかは、分野や立場、時代によって違うようだ。(河尻定)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_