もっとも、現時点では洗浄剤を使って洗う方がよいのか、それともお湯だけで身体を洗う方がよいのか、どの程度の頻度で洗浄剤を用いて洗えばよいのか──という疑問を明らかにした研究はまだない。比較試験を実施しようとしても、皮膚トラブルは自然に改善するケースが多く、明確なエビデンス(この治療法が良いと言える科学的根拠)を得るのは今後も難しいだろう。

ボディーソープよりせっけんを

「洗浄剤を使うならば、ボディーソープよりもせっけんを用いた方がよい」。入浴時に洗浄剤を使うべきか否かの考えは違っても、この点では専門家の意見は一致していた。大矢氏は「患者には防腐剤、香料、着色料の入っていない無添加せっけんを薦めている。だが、流し残しのないように入念にすすげば、無添加に強くこだわる必要はない」と言う。

写真1 せっけんとボディーソープの成分表示の例。せっけんには「石けん類」、ボディーソープには「全身洗浄料」などと記載されている。成分表示を見れば何が含まれているのか確認できる

せっけんとは、弱アルカリ性で洗浄力を発揮する高級脂肪酸の塩(えん)の総称。単純な構造をしたアルカリ塩であるので、流し残しが少々あったとしても、皮膚が弱酸性の状態であるために中和され、界面活性剤としての効果は失われる。

一方、合成界面活性剤を用いたボディーソープは「全身洗浄料」などと記される(写真1)。せっけんとは異なり、界面活性剤の効果が薄まりにくく、流し残しがあった場合は皮膚バリアを低下させる可能性がある。そのため、「界面活性剤と比較すると、天然の油脂でできており、構造が単純なせっけんの方が肌にとっては良いのではないか」と大矢氏は意見を述べる。

写真2 無添加、無香料のせっけんの一例

また、弱酸性をアピールする洗浄剤も目立つが、「弱酸性だからといって、皮膚に影響を与えないのかどうかはまだ明らかではない」と岡田氏。患者に指導する際は、殺菌成分や香料が含まれておらず、「石けん」と記載のあるもの(写真2)を薦めているという。

(日経メディカル 加納亜子)

[日経メディカル Online 2014年1月14日掲載記事を基に再構成]

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