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「シニアシフト」に乗り遅れるな 急変する消費の構造 村田アソシエイツ代表 村田裕之氏

2012/11/23

 定年後のシニアに対しては、退職金目当ての金融商品や海外旅行の売り込みが殺到する。一方で、暮らしや健康面で不安を抱えるシニアたちに配慮した商品、サービスは少ない。シニアがほしい商品を提供するシニアビジネスが未成熟なのだ。しかし、「最近、企業の目の色が変わってきた」とシニアビジネスに詳しい村田アソシエイツ代表の村田裕之氏は指摘する。企業の“シニアシフト”が始まり、ようやくシニアが求める商品、サービスが登場する下地が整ってきたという。

――村田さんは、シニア向けの新規事業に関わってこられました。たとえばアメリカで生まれた女性専用のフィットネスクラブ「カーブス」を日本に紹介されました。

 むらた・ひろゆき 村田アソシエイツ代表、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センター特任教授。1962年新潟県生まれ。シニアビジネス分野のパイオニアであり、多くの民間企業の新事業開発に参画し、シニア向け事業をプロデュースしてきた。高齢社会研究の第一人者として講演、新聞・雑誌への執筆も多数。主な著書に「シニアシフトの衝撃」、「シニアビジネス」、「団塊・シニアビジネス『7つの発想転換』」(以上ダイヤモンド社)、「リタイアモラトリアム」(日本経済新聞出版社)、「『スマート・エイジング』という生き方」(扶桑社新書)がある。

村田 カーブスは、2003年ごろに私のアンテナに引っかかりました。これは日本でも受けそうだなという予感がありました。著書(「シニアビジネス」)や講演などで紹介したりしたところ、いろいろな企業が日本でやりたいと手を挙げました。そして、カーブス・ジャパンが2005年7月に東京・戸越公園に1号店を開きました。2012年10月現在で約1200店舗を展開、会員数は50万人を超えるまでになりました。

■年配女性のニーズ、日米で共通点

――カーブスが日本で成功すると思ったのはなぜですか。

村田 アメリカで受けた理由が日本の潜在ニーズと同じだったのです。米国の年配の女性は肥満症の方が多く、「やせたい」「健康になりたい」というニーズはあるのですが、既存のフィットネスクラブは「機械が並んでいて、好きになれない」「長時間拘束され、料金も高い」という不満がありました。こうした不満を解消するカーブスのサービスは同じ不満を持つ日本女性にも受けると思ったのです。

――いまもアメリカのビジネスを持ってくればヒットする可能性は高いのですか。

村田 アメリカで生まれていた新しい芽はこの10年で、減ってきたような気がします。とくに2008年のリーマン・ショック以降は、その傾向が顕著です。アメリカの高齢者は株に投資する人が多かったので、お金がなくなってしまったのですね。それで企業も高齢者だけをターゲットにするのが難しくなってきたわけです。

■年配者があふれる日本の街

――日本では2007年から団塊の世代が定年退職年齢になるということで、消費が活発になると期待されたのですが、あまり消費が盛り上がることはありませんでした。

村田 2007年時点ではシニア市場が拡大するという期待は非常に大きかったのですが、具体的に事業を起こす企業が意外に少なかったのです。しかし、去年から今年にかけては様相が一変し、本気でシニアビジネスに挑戦する企業が増えてきました。

――村田さんはこうした動きを、「シニアシフト」と呼んでいますね。シニアシフトとはどういう意味ですか。

村田 二つ意味があります。一つが人口構成のシニアシフトです。人口構成の山が高齢者層のほうに移動しているということです。それを企業が実感するようになった。日本の街中は年配の方でいっぱいです。シンガポールや香港の街中にはこんなに高齢者はいません。

 もう一つはそれに対して企業がターゲット顧客をシニアのほうにシフトしているという意味です。若年層が就職難に陥っており、所得もおしなべて低い。シニアを狙うしかないということになるわけです。

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