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「天国にいちばん近い島」で起きた事件を映画化 監督に聞く 問題作「裏切りの戦場 葬られた誓い」24日公開

2012/11/22

「裏切りの戦場 葬られた誓い」。カソヴィッツ監督は脚本、編集、主演もこなした。 (C)Nord-Ouest Films - UGC Images - Studio 37 - France 2 Cinema

サスペンス映画「クリムゾン・リバー」などフランス映画界の鬼才として活躍するマチュー・カソヴィッツ監督が10年の月日をかけて映画化した「裏切りの戦場 葬られた誓い」が24日から全国で公開される。1988年にフランス領ニューカレドニアで起きた「ウベア島事件」の真実を描いた。フランス政府から作品の内容自体が認められず、犠牲となった人の遺族感情を巻き込み賛否両論となった問題作だ。

88年4月22日、「天国にいちばん近い島」といわれるニューカレドニアのウベア島で、独立を狙うカナック族の過激派がフランスの憲兵隊宿舎を襲撃し4人の警官を殺害、多数を誘拐する事件が起こる。事件は5月、軍やフランス国家憲兵治安部隊(GIGN)などによる突入で過激派を殺害することで解決したが、特殊部隊側にも犠牲者が出た。だが、政府の報道の矛盾をマスコミが追及、また制圧部隊の中で交渉役となっていたGIGNの隊長が1990年に手記を発表したことで真実が明らかになった。制圧後に無抵抗だった過激派を暴行のうえ射殺していたことを、フランス政府は隠ぺいしていたのだ。

(C)Nord-Ouest Films - UGC Images - Studio 37 - France 2 Cinema

カソヴィッツ監督はこの「ウベア島事件」に興味を持ち映画化に着手、10年費やし製作した。自身で監督と脚本、編集、そして主演までを演じている。監督としてだけでなく、出演した「アメリ」等のヒット作で俳優としても有名なカソヴィッツ監督。事件の入念な調査に加えフランス政府、ニューカレドニアと、事件に関わった関係者各位に映画化の許可を得るために奔走し、本作品を作り上げた。だが、その内容をフランス政府は否定し、両サイドの遺族感情をも巻き込んだ賛否両論の問題作となった。

事実が暴かれていくストーリーのみならず、ジャングル内の戦闘シーンなどリアリティーあふれる戦闘シーンをワンカメラ、ワンショットで撮り、主人公が事件にかかわっていく過程や圧倒する映像は観る者をこの事件の目撃者のように体感させていく。まさに映画的な醍醐味を持った作品だ。この作品は2012年セザール賞脚色賞にノミネートされている。

あらすじ フランス国内で社会党のミッテラン大統領と国民運動連合のシラク首相が大統領選挙最後のアピールを繰り広げていた1988年4月22日、遠く離れたフランス領ニューカレドニアのウベア島で、カナック族の独立派によってフランス憲兵隊官舎が襲われ、警官が4名死亡、30名が誘拐される事件が起きた。政府は、フランス国家憲兵治安部隊(GIGN)の隊長であるフィリップ・ルゴルジュ大尉(マチュー・カソヴィッツ)を交渉役として任命し、彼は平和的解決を模索するが、国内では政治家たちによる対話路線と強硬路線で意見が対立していた。ルゴルジュ大尉は独立派を説得し国家への忠誠と解放を約束したが、彼の尽力虚しく政府からの攻撃命令が下った…

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