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マネー研究所
日経マネー 特集セレクト

2013/9/25

日経マネー 特集セレクト

この非課税制度の対象となるのは、30歳未満の人が「直系尊属」から受ける贈与。直系尊属には親や曽祖父母も含まれるが、実際には祖父母から孫への贈与を想定している。贈与されたお金の使い道は教育資金に限られる。非課税枠は、学校などに直接支払う場合は1500万円までで、そのうち500万円までは、学校以外の習い事などにも使える。

金融機関を通して利用

ただし、贈与されたお金は金融機関の教育資金口座に入金しなければならず、その金融機関を通して「教育資金非課税申告書」を税務署に提出することで、初めて非課税になる。教育資金口座は孫1人につき1金融機関に限られ、途中での変更はできない。

教育資金口座は孫名義で、孫自身か、未成年の内は親が代理人となって教育資金を引き出す。その際、教育機関などからの領収書が必要という点が最大のポイントだ。

孫が30歳に達した時点で金融機関との契約は終了。そのとき、使い切れずに口座に残ったお金や、教育費以外の目的で払い出した部分については、孫が贈与を受けたものとして贈与税が課されてしまう。この点にも注意が必要だ。

なぜ今、孫への贈与を非課税にする制度が始まったのだろうか。要因の一つは、2015年から相続税の基礎控除が引き下げられ、実質増税となること。これに対する軽減措置という意味がある。

もう一つの要因として考えられるのは、日本の個人金融資産1500兆円の6割を60代以上の人が保有するという状況だ。シニア世代に資産が蓄積されている一方で、現役世代は収入が伸び悩んでいる。税金や社会保険料の負担が重くなる中、苦労して子供の教育費を貯(た)めていることが多い。税理士の望月茂さんは「贈与を受けて親の教育費負担が減れば、教育用にプールされていた資金が他の消費に回ることが期待できる」と指摘する。

孫にはお金を惜しまないシニアの心をくすぐることで、高齢者から現役世代に資金を還流させ、日本経済の再生を図るという当局の巧みな戦略が見て取れる。

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