検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

純米酒と米だけの酒、生酒と生貯蔵酒 何が違う?

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

スーパーの酒売り場を歩いてみると、紙パックに入った日本酒がずらりと並んでいた。パック酒といえば醸造アルコールや糖類を添加した「安酒」のイメージがあるが、実は純米酒も結構多い。中には「米だけの酒」という商品名の日本酒もいくつか見つかった。この「米だけの酒」、「純米酒」と同じ意味かと思いきや、そうではないらしい。純米酒と米だけの酒、何が違うのか。

「こうじ米の量」「清酒を添加」「規格外米」……

「純米酒の規格に該当しません」――。スーパーで見つけた「米だけの酒」には、商品名の横に小さな文字で注意書きがあった。純米酒ではなく普通酒だという。同じ棚には、違う酒造会社の純米酒と銘打った「米だけの酒」も置いてある。どちらも「米だけの酒」なのに、片方は純米酒でもう片方は普通酒。どういうことなのか。

「純米酒の表示基準に該当するかしないかの違いです」。酒文化研究所(東京・千代田)を訪れると、狩野卓也社長が教えてくれた。

国税庁によると、純米酒には3つの要件がある。

(1)使用原料はコメと米こうじ(白米にこうじ菌を繁殖させたもの)のみ

(2)こうじ米(米こうじ用のコメ)の使用割合が15%以上

(3)農産物検査法で3等以上に格付けされたコメを使っている

純米酒と表示していない「米だけの酒」は、このうち(2)か(3)に該当していないことになる。狩野社長は「酒造会社により製法は様々ですが、例えばコメを溶かして液状にしてから仕込む手法があります。効率的に造れますが、こうじ米の使用量が少なくなり、純米酒とは表示できなくなる可能性があります」と話す。

「米だけのやさしい思いやり」を製造している小山本家酒造(さいたま市)では仕込みの段階で清酒を一部使うため、純米酒規格に該当しないという。ただし加えるのは「米だけの酒」なので、「米だけ」という表示自体は間違いではない。清酒を加えることで「味に特徴を出す」狙いがあるとしている。

2004年、純米酒の定義から「精米歩合70%以下」外す

紙パックの純米酒に共通するのは精米歩合、つまりコメの削り具合だ。精米歩合とは米粒を外側から削ったときに残る度合いを指す。比率が低いほど削る量が増え、それだけ多く原料米を使うことになる。沢の鶴の「米だけの酒」は75%、日本盛の「お米だけの酒 辛口」も75%。コメだけの酒はあまり削らないものが多い。

一般的に、米粒の外側部分に多く含まれているたんぱく質や脂肪分は、日本酒の雑味の原因となりやすい。雑味が少なく香りが高い吟醸酒は60%以下(40%以上削る)、大吟醸酒は50%以下(50%以上削る)と、高級な酒ほど多く削る傾向がある。ただ最近ではあまり削らなくても雑味を抑える醸造技術が進んでいるという。

こうした「米だけの酒」の多くは、純米酒であっても「米だけの酒」という名前を前面に出している。なぜこの名前にこだわるのか。

「商品が登場したころの表示基準では純米酒を名乗れなかったので、『米だけの酒』としました。基準が変わった現在では純米酒を名乗れますが、商品名が浸透しているので、そのままにしてあります」(沢の鶴)

「米だけの酒」は1998年、沢の鶴が初めて紙パック入りで商品化した。当時、国税庁の表示基準では「米だけの酒」は純米酒ではなかった。「精米歩合70%以下」という基準があったからだ。

しかし沢の鶴の「米だけの酒」がヒットしたことで各社が追随。「米だけ」をうたった日本酒が急増した。新ジャンルとして定着したことを受け、国税庁は2004年、純米酒の要件を変更。「醸造設備の開発、製造技術の進歩により、精米歩合70%以下の要件に該当しない清酒(いわゆる米だけの酒)であっても純米酒の品質に匹敵するものが製造できるようになった」として、それまでの「精米歩合70%以下」という条件を外し、精米歩合を明示するよう義務付けた。さらには「こうじ米の使用割合15%以上」を追加したのだ。

基準変更後、沢の鶴など多くの酒造会社が「米だけの酒」を純米酒と表示するようになった。ただし既に定着している「米だけの酒」はそのまま商品名として残した上で、純米酒であることを書き加えた。

一方、純米酒基準を満たさない「米だけの酒」は、その名前のすぐ近くに「純米酒ではありません」などの説明表示が義務付けられた。国税庁によると、8ポイント(縦幅約2.8ミリ)の活字以上の大きさで書く必要があるという。こうして純米酒と普通酒、2タイプの「米だけの酒」が流通することになったのだ。

生酒と生貯蔵酒の違いとは

何ともすっきりしない日本酒の表示ルール。純米酒や吟醸酒など製造方法についての違いのほか、製造後の貯蔵方法についてもややこしい区分がある。

「生貯蔵酒」と聞くと、どんな酒を思い浮かべるだろうか。「生」というからには加熱処理をしていない酒と思いがちだが実は違う。絞ってから1度も加熱していない酒は「生酒」といい、「生貯蔵酒」は出荷前に1度だけ加熱したものを指す。

日本酒は通常、絞った後と出荷前の2回、低温で加熱殺菌を行う。加熱回数が少ない方がより風味が残るが、その分保存にも注意が必要だ。

「生詰酒」もある。こちらは絞った後に1度加熱して、出荷時には加熱しない。ここ数年で広がってきた「ひやおろし」もこのタイプだ。

「ひやおろし」は新酒を数カ月間寝かせ、秋になってから出荷する酒のことで、秋の風物詩として定着しつつある。ただ最近では「2度加熱したものも『ひやおろし』として認めようという議論が業界内にある」(酒造会社)という。

これまでは気温が十分下がってから出荷していたため、出荷時の殺菌は不要だった。しかし業界内にはもっと早くから出荷したいとの声があり、そのためにも2度目の加熱を容認すべきとの意見があるようだ。そうなるとますます「生」の意味が曖昧になってしまう。

純米酒と米だけの酒、さらには生酒と生貯蔵酒、生詰酒。それぞれに事情があり、違いがある。多様性を楽しむのも日本酒の味わい方の一つではあるが、その複雑さが日本酒の「選びにくさ」につながっている面も否めない。(電子報道部 河尻定)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_