塾の送迎に説明会やオープンスクール、出願書類の取り寄せ、願書提出、付き添い、合格発表、入学手続き…。中学受験では短い期間にやらねばならないことが多い。共働き家庭では、夫婦一緒に受験に取り組むことが不可欠だ

私立、公立の中高一貫校の良さは、(1)校風や教育カリキュラムなどが学校によりさまざまなため自分に合った学校を選べる、(2)6年間の一貫教育のなかで部活動などを含め、多角的に学ぶことができる、(3)学習進度が早いため、大学受験の準備期間が長く取れるので、大学受験に有利――などが挙げられる。このような条件を踏まえたうえで、受験するかしないかを冷静に判断すべきだ。

共働きであることの強みも

次に、共働きであることが中学受験にもたらすメリット、デメリットを考えたい。

メリットとしてはまずダブルインカムなので、金銭面で余裕があること。高学年になり本格的な受験時期に入ると、講習や志望校別講座、模試などで塾関連の出費は急増する。そのようなときでも家計に余裕があれば、苦手科目の克服のために個別指導塾や家庭教師などを併用することも可能だ。受験校の選択肢も増える。

そのほか、精神面でのメリットとして「お母さんが仕事をしているほうが、受験にのめり込まずに冷静になれます。子どもへのプレッシャーも小さくて済む」と杉山さんは言う。「最近では過熱しすぎて親子関係を悪化させるケースが多く見られます。それでは子どもは伸びません」(杉山さん)

図3 夫婦の価値観の違いは、塾や志望校選び、そもそも受験に対する考え方の相違を生み出し、混乱のもとに。受験に熱心なあまり、父親が口を挟みすぎると「母親が2人」状態となってしまう。役割分担をきちんとしておこう。逆に、母親が抱え込んでしまうと自分の仕事と受験の板挟みとなってしまい、イライラのもととなる。夫婦ともに無理をしてしまうと子どもは逃げ場がなくなってしまうので気を付けたい。仕事をしているからこそマネジメント力は必須。5つのうち、1つでも該当する項目があれば要注意。中学受験を考えているならば改めるべきだ

吉本さんも「共働きでは夫婦一緒に受験に臨まなければ、マンパワーが足りません。子どもの受験のために夫婦が頑張っている姿を見せられるのは、子どもにとっては喜びであり、宝物です」と語る。

一方、デメリットの最たるものは、時間に制約があることだが、親が時間管理を行う、ほかの人からのサポートを受けるなど工夫次第で解決できることも多い。志望校選びをはじめ受験への考え方など、夫婦間にズレが出てきて受験もうまくいかなくなる。受験に支障が生じがちな夫婦の言動を挙げたので、思い当たるところがあれば改めよう(図3)。

中学受験は5~6歳から取り組むのがベスト

中学受験をすると決めた場合、何から取り組めばいいか。学童保育が終わる小学校4年生くらいになって、大手塾に行き始めることイコール中学受験のスタートではない。

「中学受験の準備は早ければ早いほどいい」と吉本さんは断言する。といっても、小さなうちから塾で受験に必要な知識を詰め込むべきだというのではない。日常生活の中で、学習習慣や将来の受験の下地となる知識を身につけ、物事を深く考える力や、限られた時間を活用できる「段取り力」をつけるためには5~6歳ごろから取り組むといいとの考えからだ。

「これらの学ぶための基礎は短期間では身につけられませんが、備わっていると大きなアドバンテージとなり、塾に入ってからも自信を持って勉強に取り組めます。子どもの自主性を刺激し、伸ばすことを大事にしてほしい」(吉本さん)

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