「特に、AMPKが活性化するのは、やや強めの筋トレです。有酸素運動の合間にやや強めの筋トレをはさむサーキットトレーニングによって、より効率よくミトコンドリアを増やすことができます。といっても、きついトレーニングを行う必要はありません。ウオーキングの合間に、筋肉痛にならない程度の刺激を筋肉に与える運動と考えてください。太極拳やヨガ、バレエなどは、ミトコンドリアにとってもいい運動ですね」(太田さん)

(この記事のイラスト:にしごりるみ)

ミトコンドリアにやさしい「食べ方」とは

今度は、「食べ方」とミトコンドリアの関係について見てみましょう。「食べすぎずに、摂取カロリーを腹7分目で抑えることは、ミトコンドリアを元気にしているのです」というのは、慶応義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授の伊藤裕さん。

「摂取カロリーを適切に抑えると、長寿遺伝子のサーチュインが増えることが分かっています。サーチュインは、ミトコンドリアを増やすのです。漫然と食事をするのではなく、1日のうちに数回「お腹がすいた」と感じる時間を作ることを心がけてください」(伊藤さん)。

摂取カロリーを抑えるというと、「お茶漬けかパンだけにしよう」と考える人がいますが、これはミトコンドリアにとって、よくない食事。ミトコンドリアでエネルギーを作る際には、酸素以外にもアミノ酸やビタミンなどの成分を必要とするからです。

抗疲労のための食材に詳しい、大阪市立大学大学院医学研究科特任講師の福田早苗さんは、「代謝がよく、疲れにくい体を作るために、たくさんの栄養素がかかわります」と言います。例えば、抗疲労効果が実証された成分にはイミダゾールジペプチドがあります。

「これは、マグロや鶏の胸肉など、長時間の連続運動を必要とする動物や魚に含まれています。ほかにも、トリプトファンというアミノ酸や、ビタミンB1など、抗疲労効果の高い成分を組み合わせてとり続けることが大切です」(福田さん)

つまり、たんぱく質や野菜をしっかりとることも、代謝アップには欠かせないのです。

食事や運動の効果は、数カ月続けないと出ないと思いがち。でも、ミトコンドリアは短期間で増えます。「最初はきついと感じた運動でも、1週間ほど続けるうちに、きつくなくなるという経験はありませんか? ミトコンドリアが増えた結果だと考えられます。毎日作られるミトコンドリアをイメージしながら、食事や運動をしてみてください」(太田さん)。

ストレスがミトコンドリアを弱める!
 ミトコンドリアの数が多く、それぞれがうまく働いている人は普段からよく運動し、適切な量とバランスの食事をリズムよくとっています。すると、ATPがたくさん作られて、脂肪が余らない、という良いサイクルができます。ミトコンドリアがうまく機能しない人は、細胞の中のミトコンドリアが少なく、一つひとつに負担がかかっています。疲弊したミトコンドリアからは、活性酸素が発生しやすく、老化の原因に。活性酸素は、ミトコンドリア自身も弱めてしまいます。このような状況では、食事としてとった糖や脂肪が余り、肥満になります。肥満は、高血圧や高血糖になりやすいのですが、これがミトコンドリアの力をさらに弱めてしまう――という悪循環に陥ってしまいます。ストレスも、ミトコンドリアを弱める原因です。

(日経ヘルス プルミエ 三谷弘美)

[日経ヘルス プルミエ2010年11月号の記事を基に再構成]

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