外国人が読みたくなる日本文学日経エンタテインメント!

いまや、世界で読まれている日本文学。しかし、特に欧米版の翻訳本では、タイトルや装丁が変更されることがしばしばあります。日経エンタテインメント!誌では、外国人が好むタイトルや装丁の傾向に注目、主に英語圏における日本文学の受け取られ方を考えてみました。

原本と翻訳本を並べてみると日本独自の文化が際立ってくる

33の言語に翻訳された村上春樹の『ノルウェイの森』をはじめ、世界的なベストセラー小説が生み出され、日本文学は世界に浸透してきている。また、それ以前にも夏目漱石や谷崎潤一郎などの作品が、翻訳され世界で親しまれている。

しかし、日本と世界の文化の違いは大きく、それが文学作品のタイトルや装丁にも顕著に表れている。改めて日本で発売された原本と翻訳本を見比べてみると、タイトルの意図などから、日本文学の独自性がみえてくる。

【問題】上段と下段から同じ作品を選び、線で結びなさい

【解答】

上段は欧米版で下段は日本で発売された原本。解答は次の通り。上段右から順に(1)『The Housekeeper and the Professor』は直訳すると「家政婦と教授」。答えは(8)『博士の愛した数式』(小川洋子)。(2)『Inspector Imanishi Investigates』は直訳すると「今西刑事が捜査する」で、正解は(10)『砂の器』(松本清張)。主人公の心情を描写した抽象的なタイトルは欧米では伝わらないとか。(3)『Quicksand』は直訳すると「流砂」。答えの(6)『卍』(谷崎潤一郎)は仏教用語であるため、直訳が難しい。(4)『Naoko』は(7)『秘密』(東野圭吾)。直訳の「The Secret」ではインパクトが足りないため、登場人物の名前を採用。(5)『NO LONGER HUMAN』の直訳は「もはや人間ではない」。答えは(9)『人間失格』(太宰治)。

分かりやすさとインパクトを追求

翻訳版のタイトルは基本的には、原題を直訳するのが一般的だ。例えば、太宰治の『走れメロス』の英訳版は、『Melos,Run!』となる。ただし、日本の歴史や風土に根づいたタイトルは、直訳すると外国では意味が理解できない。そのため、ストーリーを表すタイトルが付けられることもある。隆慶一郎の『吉原御免状』は、日本語で「娼婦の刃」という意味の、『THE BLADE OF THE COURTESANS』となった。

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