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常に10年先を考える 101歳が語る「生涯現役の秘訣」 聖路加国際病院理事長・名誉院長 日野原重明氏

2013/2/22

 昨年10月4日、101歳になった聖路加国際病院理事長・名誉院長の日野原重明さんは、いまでも新しいことにチャレンジし、子どもたちとも積極的に交流する。若さを失わない日野原さんに、「生涯現役であるための秘訣」や、「人と人のつながり」「老いとどう付き合い、どう死ぬか」について聞いた。
 ひのはら・しげあき 聖路加国際病院理事長・名誉院長。1911年山口県生まれ。京都大学医学部卒業、同大学院修了。41年聖路加国際病院に内科医として赴任。現在も理事長職のほかに、現役医師として回診し、患者参加型医療、予防医学、終末医療の普及推進などに貢献。医学・看護教育の刷新に尽力している。  73年(財)ライフ・プランニング・センター創設。2000年には老人の新しい生き方を提唱して「新老人の会」を立ち上げた。また、次世代に平和といのちの大切さを伝える「いのちの授業」を全国の小学校で展開中。長年の功績が認められ、05年に文化勲章受章。

――日野原先生にとって「現役」とはどういう意味ですか。

日野原 生き甲斐を持って生きること、これが一番大切です。生き甲斐がなくなれば、人生は終わり。今日はこれをやろうというプログラムがないとだめです。今日に期待を持って朝はさわやかに目覚めます。

■10年手帳に記入した予定は自分のミッション

――10年先まで予定を書き込める10年手帳を使っていらっしゃるそうですね。

日野原 2011年から20年までの10年手帳を使っています。それぞれの年の同じ日に予定を書き込んでいます。食事に行くようなときはアポイントメントを取るって言うでしょう。ぼくが手帳に書くのは「コミットメント」なんです。神に誓約をすることをコミットメントと言います。どうしてもこれがやりたいということを5年、10年先でもきちっと決めて、これは自分のミッションであると考えています。

――先生が「『成人病』という言葉では誤解を招く。『生活習慣病』と呼ぼう」と提案してから、実際にそう呼ばれるようになるまで20年かかったそうですね。10年、20年の単位で取り組まなければならない仕事は多いのですね。

日野原 日本人の死亡原因の一番が当時は脳卒中で、高血圧の人が脳卒中になることが多いので厚生労働省が健診をしようということになりました。成人健診という名前をつけて、そこで発見される病気を成人病と呼んだのです。でもそれは間違っていると思いました。海外では「成人病」などと言っても通じないので、その人の毎日繰り返す生活の仕方がつくる病気を「生活習慣病」と呼ぼうと提案したのです。

■「よど号」事件に遭遇、その後の人生は「与えられたもの」

――101歳からでも10年先のことを考えていらっしゃるわけですが、60歳あるいは65歳になって、第二の人生を歩もうとしている人に対してアドバイスはありますか。

日野原 60歳とか65歳というのは職業で一区切りつくだけで、人間として生きることが終わるわけではないんです。自分の得意なことを開発して、新しい人生を始めることが必要です。ぼくは、ハイジャックにあった「よど号」に乗っていました。59歳のときですが、命が助かったときに、「これからの人生は与えられたものだ」と感じました。「恩を受けた人に返すだけでなく、あらゆる人にこれからの私の人生を捧げよう」「これからがぼくの人生の本番だ」と思いました。

――実際に60歳を過ぎてから、いろいろなお仕事をされているんですね。

日野原 オーストリア出身のマルティン・ブーバーという哲学者が「人は、新しいことを始めることを忘れない限り、いつまでも若い」と言っています。普通の人は、やったことがないからできないと言います。ぼくは3年前から俳句をつくり始めました。なんでもできるんです。小学生に行っている「いのちの授業」で俳句をつくってみようと言うと、10歳の子が「いのちとは 僕の持ってる 時間だね」という句をつくってしまうのです。

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